第50回
本土市場の好況は「全流通」解決への布石
北京に行った時に、
証券関係者と話す機会があり、
この人いわく、
「今年、中国本土では
『全流通』の問題が解決されるだろう」
とのことです。
「全流通」とは、
要は、国有企業で複雑な資産状況のままで
上場企業となってしまい、
現在に至るまで、
上場企業であるにもかかわらず、
その株式は
ほとんど非公開状態のままとなってしまっており、
これらをどうにかして
市場に流通させようというものです。
中国本土の市場において、
現在市場に流通している株式は
上場企業全体の総発行株式数の
30−40%程度に過ぎないといわれています。
現在流通している株式の
2倍にも相当する株式が非流通状態にあり、
これによって、中国本土市場は
構造的な問題を抱えることになっています。
いつかは解決されなければなりませんが、
この莫大な非流通株式が
市場に流出することになれば、
市場の需給バランスが一気に崩れる可能性があり、
難しい問題となっています。
冒頭の証券関係者は、
「市場に極力影響を与えないような方法を
政府は検討しており、
現在は、発表のタイミングをうかがっている」
と見ています。
この問題は2001年ごろから深刻化していますので、
確かにそろそろ何らかの措置が講じられても
おかしくはありません。
いくら極力影響のない方法を考えているといっても、
多かれ少なかれ市場に対する衝撃は避けられませんので、
「政府は今、証券市場の環境作りに必死」(証券関係者)
という状況のようです。
確かに、
最近のA株を中心とした中国本土市場は
好調を維持しています。
季節的に、毎年、この時期、
中国本土は活況を呈すことが多いのですが、
それにも増して、
証券会社やファンドに対する法整備など、
2004年になって慌しい動きを示しているのは事実です。
この証券関係者によれば、
「『全流通』の問題解決が実現すれば
次は統合の検討が始まるだろう」
といいます。
|