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山田淳一郎さんのトクする税金の話

第91回 生前贈与のための新相続税制
「マイホーム取得資金の贈与」旧制度と新制度どっち?(その1)

平成15年1月1日から
平成17年12月31日までの間に
親から贈与を受けたマイホーム取得資金に係る
贈与税の取扱いについては、
旧制度(1,500万円まで贈与税が軽減される制度)と
新制度(3,500万円まで贈与税が非課税となるが
相続時に贈与資金を相続財産に加算して精算する制度)の
2つの特例が併存します。

両方の制度は、
各々の適用要件に相違がありますが、
もし両方の適用要件をともに満たしている場合には、
税金の観点からはどちらの制度を選択した方がよいでしょうか?

その答えは、相続税がかかるご家庭か、
かからないご家庭かによって結論が異なりますので、
それぞれのご家庭について
今回と次回の2回にわけてご説明します。

【相続税がかからないご家庭】

1.贈与を受ける現金が550万円以下の場合
  旧制度を選択して贈与を受けることがよいでしょう。
  贈与金額550万円以下であれば、
  旧制度と新制度のどちらを適用しても贈与税はかかりません。

  しかし、新制度は一旦その制度を選択すると
  翌年以後に贈与を受ける場合に金額が少額であっても
  贈与税申告が必要となるのに対して、
  旧制度は年間贈与金額110万円以下であれば
  贈与税申告は不要
  (但し、この特例を適用した年の翌年以後
   4年間の贈与は贈与税申告が必要)です。
   
  したがって、以後の贈与にかかる申告手続の手間を考えると
  旧制度の選択がよいと思われます。

2.贈与を受ける現金が550万円超3,500万円以下の場合
  新制度を選択して贈与を受けることがよいでしょう。
  なぜならば、新制度を選択した場合に
  贈与税の非課税枠の範囲内ですから贈与税ゼロ、
  そして住宅資金として贈与を受けた金額は
  相続時に本来の相続財産に加算されますけれども、
  贈与金額を相続財産に加算をしても
  相続税がかからないことに変わりはありませんので
  (「相続税がかからないご家庭」を前提に
    議論しているのですから当然です)、
  結果、贈与税ゼロ(相続税もゼロ)で
  贈与ができることになるからです。

執筆:(株)東京ファイナンシャルプランナーズ 税理士 鈴木寛
監修:公認会計士 山田淳一郎


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