第58回 生前贈与のための新相続税制
新制度「親から子供への贈与」が対象
「祖父母から孫」は不可
新制度は「65歳以上の親」が
「20歳以上の子供」に財産を贈与した場合に
選択することができます
(但し、住宅取得等資金の贈与の場合には
贈与者(親)の年齢制限はありません)。
そのため、親や子供がこれらの年齢に満たない場合や、
年齢要件は満たしていても(親から子供ではなく)
祖父母から孫へ贈与を行う場合には、
新制度を選択することができません
(これには例外があります。次回、次々回でご説明します)。
新制度創設の目的は、
高齢者の財産を早期に次世代へと移転し、
その贈与された財産を消費に回したり有効活用することで
経済活性化につながると期待されてのことにあります。
また、新制度は相続と贈与を一体と考えて
課税しようとする制度ですから、
当該制度を選択する者は将来の相続人と推定される者
(即ち、子供)でなくてはなりません。
そこで、その目的に合致するよう
贈与する者及び贈与を受ける者のそれぞれに
一定の要件が付されているのです。
ところで、年齢制限はありますが、
親から子供への贈与であれば要件を満たすわけですから、
受贈者である子供がそれぞれ、
贈与者である父親・母親ごとに
新制度を適用するかどうかを選択できます。
また、養子縁組を行っている場合であれば、
実父・実母・養父・養母のそれぞれからの贈与について
新制度の適用を受けることが可能です。
この場合にはそれぞれ非課税枠が2,500万円、
4名(実父母、養父母)で合わせて1億円になりますので、
合計で1億円までの贈与を非課税で受けることができます。
なお、贈与者及び受贈者の年齢の判定時期は、
その贈与のあった日の属する年の
1月1日現在の満年齢で判断します。
例えば、今年64歳になった人が
20歳以上の子供に贈与しても新制度は選択できません。
また、その翌年も1月1日時点では
まだ64歳ですから同様に選択できません。
この場合には翌々年になって初めて選択できます。
執筆:税理士法人 山田&パートナーズ税理士 山本武尊
監修:公認会計士 山田淳一郎
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