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山田淳一郎さんのトクする税金の話

第59回 生前贈与のための新相続税制
祖父母の養子である孫
「祖父母から孫への贈与」も新制度の対象

前回、祖父母から孫への贈与では
新制度を選択することができませんとお話しましたが、
これには例外があります。
その一つは祖父母が孫と養子縁組したケースです。

養子縁組しますと祖父母と孫との関係は
法的には親子関係になりますので、
65歳以上の祖父母から20歳以上の孫への贈与につき
新制度の選択ができます。
また祖父母(養父母)のみならず、
父母(実父母)からの贈与も年齢要件を満たしていれば、
即ち実父母が65歳以上ならば新制度の適用があります。

新制度と少し離れたところの話ですけど、
通常の養子縁組の場合と異なり
祖父母と孫との間での養子縁組の場合においては
相続税の面で留意しなければならない点があります。
それは「相続税額の2割加算制度」が適用されることです。

「相続税額の2割加算制度」とは、
被相続人の一親等の血族や配偶者に該当しない人
(例えば、被相続人の兄弟姉妹や甥・姪、
 そしてここにいう祖父母と孫との関係など)が
相続又は遺贈によって財産を取得した場合には、
その人が納付しなければならない相続税が
2割増になるという制度です。

これまでは、養子は一親等の血族とされ
2割加算制度の適用がありませんでしたが、
平成15年税制改正により、
養子となった孫であっても相続税の課税上の取扱いとしては
一親等の血族から除かれることとなり
2割加算制度の対象となることに変わりました。

今後は祖父母が孫と養子縁組した場合に、
孫が単純に相続により
被相続人(祖父母)の財産を取得した場合であっても、
相続時精算課税制度を選択して
生前贈与により被相続人の財産を取得し、
その後の相続で財産に加算し
相続税の計算をした場合であっても、
相続税の2割加算制度の対象とされます。

但し、孫の親(祖父母の子)が
被相続人の相続開始以前に既に亡くなっている場合、
つまり孫が祖父母の財産を
代襲相続人として相続することになる場合には、
2割加算制度の適用はありません。

執筆:税理士法人 山田&パートナーズ税理士 山本武尊
監修:公認会計士 山田淳一郎


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