第34回
妻の株式運用(特定口座)と夫の所得税・住民税
「妻は専業主婦です。
妻は親から相続した上場株式等を持っていますが、
この株を売って売却利益が出ると、
私(夫)の確定申告で配偶者控除は受けられませんか?」
妻の所得金額(利益)が38万円を超えると、
夫の所得税・住民税計算上「配偶者控除」の適用は
ないことになっていることから
妻が株式を売却して利益を得た場合、
その利益は上記の「妻の所得金額」に含まれるのか否か、
その結果として夫において配偶者控除の適用が
受けられなくなるか否かのご質問です。
1.妻が特定口座(源泉徴収口座)内で株式売却し
確定申告しない場合
妻が特定口座を開設し、
「源泉徴収」を選択し確定申告しなかった場合には、
妻のその株式売却利益は「妻の所得金額」に含めずに、
夫の所得税・住民税における「配偶者控除」の
適用判定を行ないます。
即ち、妻の特定口座(源泉徴収口座)内の売却利益が
どんなに多額でも、夫の税金計算上
「配偶者控除」の適用があるわけです
(但し、妻の他の所得が38万円以下の場合)。
2.妻が特定口座(源泉徴収なし)内で株式売却した場合
妻は特定口座を開設したが、
「源泉徴収」を選択しなかった、
という場合は、妻は特定口座で生じた株式売却利益について
確定申告しなければなりません。
この場合、妻のその株式売却利益を「妻の所得金額」に含めて、
夫の所得税・住民税における「配偶者控除」の
適用判定を行ないます。
つまり、妻の特定口座(源泉徴収なし)内の株式売却利益と、
それ以外の所得金額の合計額が38万円以下の場合にだけ、
夫において「配偶者控除」の適用があります。
なお、妻が特定口座を開設せずに
一般口座で株式売却した場合は、確定申告が必要であり、
「妻が特定口座(源泉徴収なし)内で株式売却した場合」
と同様に、その株式売却利益を妻の所得金額に含めて、
「配偶者控除」の判定を行います。
執筆:TFPコンサルティンググループ(株)税理士 布施麻記子
監修:公認会計士 山田淳一郎
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