第35回
父の「特定口座」―父に相続が発生したら
特定口座を開設し、
株式売買を行なっていた父親が亡くなった場合の話です。
遺産分割協議
まず、相続人全員で遺産分割協議を行ない、
上場株式やその他財産の遺産分割を決めることになります。
遺産分割が整い、
「A銘柄とB銘柄は長男が相続し、C銘柄とD銘柄・E銘柄は
次男が相続する」ということが決まったら、
その遺産分割協議書に基づき、株式の名義変更を行ないます。
遺産分割が決まったら、その財産については
相続開始の時に遡って実際に相続した人の財産となります。
なお、相続財産が一定金額
(相続税基礎控除=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)を
超える場合には相続税がかかります。
相続発生後10ヶ月以内に相続税の申告と納付が必要です。
被相続人の特定口座から、相続する人の特定口座への移管
被相続人である父が開設していた特定口座にある上場株式等は、
相続する人の特定口座に移動(移管)することができます。
被相続人と相続する人が
同じ証券会社に特定口座を開設している場合はもちろん、
被相続人の特定口座と、相続する人の特定口座が
別の証券会社である場合にも移動することができます。
ただし、被相続人の特定口座から1度株券を引き出してから、
その株券を相続する人の特定口座に入れることはできません。
証券会社に「相続株式に関する移管依頼書」を提出して
証券会社に移管を依頼して、
被相続人の取引証券会社から相続した人の取引証券会社に
移動しなければなりません。
この点注意が必要です
(平成16年末までは、被相続人の特定口座から株券を引き出し、
相続した人のタンス株券として
相続人の特定口座に入れることはできます。
しかし、平成17年以降はタンス株券を
特定口座に組み入れることはできませんので、
父の特定口座の株券を相続人の特定口座に組入れるには
上述の方法、すなわち証券会社に依頼して証券会社間で
直接移管する方法しかありませんので注意が必要です)。
執筆:TFPコンサルティンググループ(株)税理士 布施麻記子
監修:公認会計士 山田淳一郎
|