税金は痛い思いをさせないでとる配慮が必要

現時点で消費税を強行実施した狙いは赤字財政の埋め合せ
生産が充ち足りるようになれば、政治や行政の次なる仕事は、生産を奨励することから消費者の利益を守る方向に変る。ところが、ずっと生産者の利益を守り続けてきたので、日本の役所ではそれが惰性になってしまい、財政が大赤字になると、今度は消費者から消費税をとってそれで不足による財源の穴埋めをすることになった。
「消費税が来るべき老齢化社会に必要だから」という論理が飛躍しすぎていることについてはすでに述べた。老齢化社会はまだ将来のことだから、何も今からとらなくても、いよいよその必要が起ってからでも充分、間に合う。また老齢化対策に必要な財源は、何も消費税でなければならないということはない。所得税で間に合えば、所得税のなかから賄えばよいし、他の間接税のほうが痛みを感じなくて好都合だというのであれば、他の間接税であってもよい。もちろん、ほかに知恵がなくて消費税以外に財源がないというところまで追い詰められれば、消費税であってもさしつかえない。
しかし、現時点では消費税を強行実施した本当の狙いは、赤字財政の埋め合せをするためである。家計の入り口にあたる収入の時点でこれ以上、所得税をとることが不可能であれば、あとは家計の出口であるお金を使う時点で消費税をとるよりほかない。所得税は収入の多い者から多くとるが、免税点以下の人からはとれない。免税点が日本のように高い水準に設定してあれば、免税点スレスレか、免税点以下の人が多い。だから所得税を減税することとひきかえに、消費税をかければ、消費は免税点以下の人もやることだから、今まで税金を免れていた人々からでも税金をとることができる。国民である以上、また公共施設を利用している以上、税金を払うのが当り前だ、低所得層だって他の国の食うや食わずの貧民とは違うのだから、少しは国費の負担をすべきだ、という考え方に立てば、消費税くらい払ってもいいのじゃないかというリクツは立派に成り立つ。
ただし、負担すべき税金が消費税であるのがいいかどうかには議論の余地がある。消費税は間接税の一種であって、ヨーロッパの先進国では顔馴染みの税金である。韓国と台湾でも二、三年前から実施されるようになった。先進国の大半と、新しく先進国の仲間入りをした国々が等しく採用しているのだから、「先進国に似合った、いい税金だ」と主張する人がある。そうはいっても、先進国のなかにもスイスやアメリカやオーストラリアや力ナダのように付加価値税を実施してない国もある。アメリカは小売売上税だし、力ナダは製造業者売上税だし、オーストラリアとスイスは卸売売上税になっている。付加価値税を実施していない先進国も何らかの形で間接税をとっているが、それぞれのお国の事情で、とりやすいところでとっており、すべてが国民全体にアミをかけるようなやり方でないところに注目していただきたい。
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