いつのころからか、日本には「窓際族」という新しい言葉が生れ、会社の中で不要になった人々を大部屋の中でも窓に近い位置に座らせるようになったが、「窓際族」はホワイト・カラーにだけ生ずるものではない。オートメ化によって、ブルー・カラーにも「窓際族」が生じ、会社ではそれらの人々のための仕事をつくるために必死の努力をしなければならなくなった。会社によっては開発事業部を新設したところもあるが、開発事業の中には会社の未来を支えるような新事業をみつけるという仕事もあるが、不要になった社員の処置に困って、ない知恵を絞って泣き泣き手がける後ろ向きの仕事もたくさんある。
たとえば、製鉄会社が鰻の養殖をするとか、造船会社が花屋をやっているとか、石炭会社がトマトやメロンを植えているとか、ときどき突拍子もないことが新聞に出てくるが、あれは大体、オートメ化から生じた後始末であると考えたら間違いはない。したがって、オートメ化によって労働力の生産性をあげ、労賃の節約を図ることはできるし、それがやがて日本企業の対先進国進出を可能にしたという点では画期的な意味を持っているが、私の友人の経営者の中には、「オートメ化って予想外に儲からないものですなあ。設備にお金ばかりかかって、余剰人員のクビ切りはできないんですから」とつい本音を吐く人もあった。そうした数々の副作用もあったが、オートメ化が産業界に画期的な方向づけをもたらしたことは疑いの余地がない。

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