「ブーメラン現象」を覚悟してやらなければ地球的競争では勝てない

今のところ、日本の企業は着々と海外の各地に生産拠点をつくっているが、企業の中核をなす経営本部まで海外に移動しているわけではない。研究所も生産本部も、新商品の生産工場も、いずれも本社か、本社の周辺に置いてある。生産も自動化され、人問より機械にたよることが多くなり、単位労働時問あたりの生産性はあがっているから、労働集約的な商品やパーツを除けば、高賃金でも国際競争力に耐えられるようになっている。しかし、通貨にはそれぞれの国境があり、国と国のあいだで著しい貿易収支のアンバランスが生ずると支払いができなくなるから、生産拠点は消費国の国内に移すのが一番、理にかなっている。そこで、生産の指令は日本からするが、生産はそれぞれの販売状況によって各工場で行う。したがって資本の系列とか、命令の系統ははっきりしていて、会社のどこに頭があって、どこが手足であるかを問違えることはまずないが、世界中のどこでつくったほうが安いコストでできるかも次第にはっきりしてくる。
たとえば、東南アジアの工場は労賃の安さに惚れてつくられたものが多いが、アメリカの場合は大抵が円高対策および保護貿易対策としてつくられている。しかし、ホンダのオハイオ工場をみてもわかるように、最初はアメリカの市場を狙ってつくった工場でも、量産に成功して供給量が増加し、またドル安のおかげで日本産のものよりうんと安価に製品が供給できれば、日本のメーカーがアメリカで製造したものを日本へ逆上陸させるということも考えられる。というより企業全体として、多岐多様にわたる製品のうち、どの商品はどこの国の工場でつくったほうが有利かを検討して、商品別に国際分業をすることは可能だから、何が何でも日本でつくって外国に売ることから、安くつくれる国でつくった自社製品を世界中に配分して売るのが当り前の時代になる。

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