第76回
孫子の試験 〜斬り捨てる〜
号令が全員にしっかりと行き渡るように
孫武は何度も説明し後、
孫武は号令の太鼓を鳴らし「右!!」
しかし、その号令に従うものは一人もいないどころか
女性達はみんなゲラゲラ笑って孫武を馬鹿にしています。
それを見ている闔廬(こうりょ)も「ふっ、こんなものか」
という顔をしています。
そして、孫武は
「号令が理解しにくかったかな?私が悪かった」と言って
また、先ほどと同じく説明をしました。
今度は先ほどよりももっと詳しく、
何回も何回もくどいくらい説明をしました。
そして、再び号令の太鼓を鳴らし
「左!!」と号令をかけました。
しかし、今回も先ほどと同じく
女性達はゲラゲラ笑っているだけです。
それを見た孫武は顔つきを変えて
「先ほどは私の責任であったが今回は違う!
皆号令をよく理解しているはずだ!
それなのに号令に従わないのは隊長の責任だ!」と言って
持っていたマサカリで隊長に任命された呉王闔廬の愛妾2人を
斬りつけようとしました。
呉王闔廬は自分の寵愛する愛妾が斬られては
たまらないと思い、慌てて孫武に
「わかった、わかったお前の練兵ぶりはすでに見た。
すばらしい。だからその2人は斬らないでくれ」と頼みました。
しかし孫武は
「この部隊の将はこのわたし。その将が軍にあるときは、
君命であってもお受けできないことがあります。」と言い
2人の隊長をバサっと斬捨て、新たに2人の美女を
隊長に任命しました。
その後、孫武が太鼓を叩き「右!」「左!」「前!」「後!」と
号令をかけると、みんなピシッ!ピシッ!と号令に従うように
なりました。
そして、孫武は呉王闔廬に
「練兵は完了しました。どうぞこちらに来てお試しになってください。
王が命令をすれば、
火の中水の中何処へでも飛び込んで行くでしょう」と
言ったのでした。
呉王闔廬は孫武の才能を高く評価し、
呉の将軍として取り立てることにしたのです。
その後は孫武の活躍により、呉は強国として
名を知られるようになっていったのです。
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