第30回
夜の出来事−「ノクターン(夜想曲)」
戸県農民画展覧館を訪れた話の続きです。
前回説明したような事件が起こってから、
陳楼郷の町から隣の町、
その隣の町と伝わりそして戸県まで
壁に画を画くという風潮が伝わってきました。
その当時は戸県の町も
あちらこちらの壁にカラフルな画が画かれて
町全体が画廊状態になっていましたが、
後々には壁から画用紙へと変わり、
そして、時代の流れと共に画の内容も
プロパガンダ的なものが多い時代から
現代のような自由な発想で画く農民画へと
移り変わっていきました。
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劉志徳 「ノクターン(夜想曲)」
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本日紹介する画は戸県農民画家
劉志徳さんの「ノクターン(夜想曲)」です。
(中国語では夜曲)
この画は1989年の作品で
切絵風なタッチで画いている農民画です。
皆が寝静まった夜に
お母さんが機織をしているのですが、
その機織の音と、赤ちゃんの寝息、鳥達の寝息?
そして猫のゴロゴロという音がうまく調和し
ノクターンを奏でているのです。
それから、
この画にはもう一つ意味があります。
お母さんの服を見てください。
とても立派な服を着てますね。
それに電気。
1989年の農村地帯では、
電気がある家はまだそんなに多くありませんでした。
それでこの画には電気を
とても大袈裟に画いてあるのです。
つまり生活も大分裕福になったよ
という事も表しているのです。
最後に、猫のおなかにねずみが画かれていますが、
ねずみは猫に食べられて胃袋の中にいるとのことです。
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