第29回
笑顔の裏に・・・「金の成る木」
戸県農民画展覧館を訪れた話の続きです。
戸県農民画展覧館の館長、志倹さんは、
農民画の歴史について話をしてくれました。
農民画の起源は
1956年江蘇省県陳楼郷の農民、張開祥さんが
社員(人民公社などのメンバー)達の思想に
焦点を合わせ、画を画く事を通して、
農業生産の奨励、社会状況の更なる向上のためにと
6人の小さな美術チームを結成し
画を画き始めたのが始まりです。
そして1957年の夏、
その県陳楼郷である事件が起こりました。
陳楼郷の飼育員がなんと!
私腹を肥やすために飼料を
こっそり盗んでいたのです!
その飼育員への戒めのために、
美術チームの一人である張友栄さんが
飼育室の壁に鍋の底についてある「コゲ」で
その飼育員の行動を批判する画を画いたのです。
その画を見た農民達は
農村社会主義教育と思想に
大きな力を与えてくれるものと感じ、
それ以来、農民達は村中の壁に画を画き始めました。
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壁に画を画く農民達
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あっという間に
その村はカラフルな画でいっぱいになり
村自体が大きな画廊となってしまいました。
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張青義 「金の成る木」
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今回紹介する画は戸県農民画家
張青義さんの「金の成る木」です。
この画には農民達が飼っている家畜が画かれています。
農民達は飼っている豚、ヤギ、ウサギ、鶏を売って
収入とするわけですから、
彼らからすると
家畜は金の成る木と同じなんです。
そういう意味があって
この画には家畜とその周りに
金の成る木が画かれているのです。
家畜は餌をもらって嬉しそうにしていますが
そのうち、売られて行くのです。
家畜にとっては少し酷な画ですね。
そう考えて改めて画を見ると、
おばあさんの笑顔が怖いし、
そこの子供はちょっとはしゃぎすぎ!
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