あなたの一枚に出会って下さい

第23回
農民画の母−「春鋤」

ついにバスは目的地である戸県に到着し、
早速、農民画探しを始めました。
とにかく戸県に着けば何とかなるだろうと
ガイドブックも何も持たずに来たので
先ずは、聞き込みです。

「知り合いに農民画家はいますか?」
いつもこの一言から始まります。
ここは農民画の故郷と呼ばれている町、戸県。
知り合いに農民画家がいる人を探すのは簡単な事です。

先ずはバスを降りて
歩き始めた人に声をかけました。
「知らない」(かなり冷たく)と断られた後、
何人かの人に声をかけて、やっと
「友達の農民画家が開いている画廊があるよ」
と答えてくれた人に出会うことができました。
早速、場所を教えてもらって、
バイタク(バイクのタクシー)に乗り込み
その画廊へと向かいました。

画廊に到着してみると、
そこは戸県農民画家として、
とても有名な李鳳蘭さんの娘さんが
開いている画廊でした。
その日は残念ながら、
ちょうど李さんと娘さんが
北京で展覧会があるとかで不在でしたが、
娘さんの旦那さんが
色々とお話をしてくれました。

李鳳蘭さんは1934年に
戸県の貧しい農民の子供として生まれ、
小さい時から切絵や画を画く事が非常に上手だった
大好きなお母さんから切絵、画を教えてもらい、
結婚後は家事に追われながらも
時間を見つけては画を画きつづけたそうです。

李鳳蘭 「春鋤」

この画は戸県農民画家
李鳳蘭さんの「春鋤」です。

この画は1974年に画かれたもので、
現在では北京の中国美術館に収蔵されています。
この頃の画は、文革の影響を受け、
李鳳蘭さんの画の中にも
毛沢東に農民画を見てもらっている画や
軍事練習の農民画などもあります。

李鳳蘭さん

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