あなたの一枚に出会って下さい

第10回
江南山村

イメージが出来上がると次は原画作りです。
原画作りは画用紙のような厚手の紙に
自分のイメージする画を
濃い色の鉛筆かペンで
輪郭だけを画いていきます。

最初は鉛筆で画き
それを黒いペンで再度書き直すのが
一般的なやりかたです。
どうして黒いペンで
はっきりと画き直すのかを説明しましょう。

一つの理由は「模写」をするからです。
まず画きあがった原画を
画板に糊を四隅にちょこっとだけつけて貼り付けます。
その上に原画よりも大きくて
薄手の和紙のような紙を
余白の部分が均等になるように丁寧に貼ります。
すると下に濃い色で画いた原画が
薄手の和紙のような紙に映し出されるので、
それをなぞるのです。

農民画下書き

模写する場合ですが
原画には輪郭だけを画いたもの以外に、
もう一つ色も塗ってある原画があり、
それを見て色を塗っていきます。

黒いペンで書き直すもう一つの理由は
鉛筆だと時間が経つと
はっきり見えなくなってしまう恐れがあるからです。
昔画いた画をもう一回画いてみようと思った時に
ハッキリ原画が残っていれば楽ですからね。

陳恵芳 「江南山村」

今日紹介する画は金山農民画家
陳恵芳さんの「江南山村」です。
江南・・・長江下流の南側にある
小さな山村のごく普通な生活風景を画いたものです。

母親は川で洗濯をして、
その横では玩具を持った赤ちゃんが
籠の中で遊んでいます。
犬のポチはちゃんと赤ちゃんの子守りをしています。
お父さんでしょうか?
川で船に乗り
これから飼っているアヒルに
餌をあげる所でしょう。
いつもの一日です。


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