第8回
群がるアヒル
前回の話の続きです。
従来の手法にこだわらず、
ガラス職人が画きあげた農民画が素晴らしく、
驚いた指導員達は
この結果を深く受け止め、
指導方法を変える必要があると考えました。
やはり、農民画を画く上で一番大切な事は
その人自身の個性を生かすことです。
いくら、技術や理論を学んでも
臨写は出来ますが、
自分で作品を生み出す事は出来ません。
その後、指導員達は、
画家の個性を生かすような指導方法へと
変えていったのです。
これを境に、農民画界に変化が起きました。
今までの農民画の枠を越えた、
新しいタイプの農民画が
見られるようになってきたのです。
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陶林平 「群がるアヒル」
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この画は金山農民画家
陶林平さんの作品で「群がるアヒル」です。
この画は今まで見てきた農民画と
少しタイプが違う新しい感覚の画ですが、
農民画の基本でもある
平面的に表現することも守られています。
この画はアヒルが餌を貰おうと
必死に渦を巻いて群がっている画です。
こんなに渦を巻かなくてもと思いますけど
陶林平さんの頭の中では
アヒルに餌をあげる時は、
こういうイメージがあるんでしょう。
餌をあげてる人の表情はなぜか分りませんが
とても寂しそうです。
アヒルの目と人間の目が同じ点が、
個人的に気になっています。
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