あなたの一枚に出会って下さい

第6回
物干し

昔の農民画家の多くは、
学校で特別な画法を習ったわけではありません。
もちろん、透視画法や斜投影画法などといった技術も
習った事がなかったのです。
だから農民画に画かれる立体的な物は
ほとんどが平面的に画かれているのですが
その平面的な感じがまたかわいいんですけどね。

それと同時に彼らは直接的な視覚で
その対象物を捕らえるのではなくて、
画家それぞれが自分自身の考え方で
描こうとする対象物の特徴を掴み、
本来こうあるべき物、形を
彼らの独創的な考えで大胆に、
そしてユニークに表現しているんです。

そして物体と物体との間の空間を
色の明暗や大小で表現するのではなく、
これもまた平面で
その空間を表現しているのが
農民画の一つの特徴と言っていいでしょう。

曹金根 「物干し」

今日の画は金山農民画家、
曹金根さんの「物干し」です。

今日はとてもいい天気なんで朝から洗濯です。
右上にある井戸で水を汲んで
お気に入りの衣装を洗って干しているところです。
犬もニワトリもヒヨコも
みんな気持ちよさそうにしています。

ニワトリの鶏冠を青で表現したり、
地面を真っ赤にしたりと、
とても大胆な色使いですが、
干してある服といい具合にマッチして
綺麗で可愛い画になっています。
すごく好きな画です。


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