第659回
治してみないとわからない場合がある
なんとなく憂鬱という時、
ひどく落ち込んでいるのでもなく、
かといって晴れ晴れという気分でもない。
そういう時は、どこの脳に問題というか、
働きが低下しているのだろうかと思うのです。
そして徹底して大脳皮質から小脳、大脳内部の視床とか、
被殻、淡蒼球、尾状核、海馬、扁桃体などの
アセチルコリンや血糖値を調べてみると、
淡蒼球と視床背外側核の血糖値が低下しているのです。
それでは、この部位の血糖値を上げてみると
どうなるかというので、ある漢方薬を服用してもらいました。
そして、数分後にまた血糖値を調べてみると
その他の所と同じレベルになっていて、
低下していたのが、解消されていたのです。
その時の気分、
なんとなく憂鬱という状態はどうですかと聞くと、
良くなってきたと言うのです。
脳というのは、あちこち治してみて、
治った状態の時にまた変化が起きて、
それがどこなのかという事から、
その部位の働きが推測されていくことになるのです。
人間同士なので会話が成立し、
その微妙な所も分かってくるということがあるのです。
脳というのは、治療していくと良くなっていくのです。
そして、次第に良くなっていき、
その過程においても新しい発見というのがあるのです。
交通事故でCT,MRIなどでは異常が見つけられない場合でも、
本人にすれば以前とは違う状態を自覚したり、
まわりの人から指摘されるような事があるのですが、
そういう状態でも、少しずつ改善してくると、
脳をマッピングしてどこに問題が残っているのか、
そしてそれを改善する漢方薬は何かというのを見つけて
治療していくと良い方向に向かっていくのです。
CT,MRIなどで異常があっても
そう希望がなくなるわけではありません。
人間の可能性というのは、びっくりするぐらいあるのです。
自力で治る力を引き出していくというのは、うれしいものです。
ちょっとした事が治らないことにつながることもあるのです。
そして、新聞などを見ていると、
脳を治療することが大切だと思うのです。
昔は学校の成績が良かった、
しかし、今はどうなのかと思う時、
毎年の脳ドックとかその他のドックを利用していると思います。
異常なしではすまされない事態が起きているのです。
脳のメンテナンスは必要です。
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