第235回
こんなに好きなのにどうしてなの?
小脳というのは、おもしろい臓器です。
ここには過去の遺伝子レベルで蓄積された記憶があると同時に、
これから出会う人、いつまで生きていくのかという
寿命の時間の記録もあるようなのです。
この話しはあくまでも推測ですが、
小脳の右側の大脳に面した部分に
そのような記憶の記録があるようです。
ある癌の人の治療をしていて、
たしかに効くはずの薬を投与しているのに、
あまり効果的に効いていないので、
患部の血流障害がないか
(これがあると薬が患部に届かないので効かない)、
患部に水銀など重金属がないか
(これがあると薬が到達しても効果が発揮されない)、
など色々な条件を整えても、うまくいかないことがあります。
そして、その人の寿命が普通であれば
もう十年以上もあるのにどうして、
こう縮むようなことになるのだろうと。
治るような条件を設定して、
確かに薬が効くと確認しても、あることを思うと途端に、
薬が効かない状態になってしまうのです。
それは、一番気になる人のことを思い出してもらうことでした。
頭の中で、考えた途端に、免疫が極端に下がってしまうのです。
そして、薬が効かない状態も起るのです。
それが憎たらしい人、嫌いな人だったらいいのですが、
最愛の人だったりするのです。
その人を毎日毎日思うことで、免疫がどんどん下がっていく。
そして、その人が毎日熱心に看病をしてくれればくれるほど、
病人にとっては逆効果になっていきます。
手をかければかけるほど、ますます悪くなる。
どうして?どうしたらいいの?
憎たらしい人、嫌いな人で
免疫を低下させる人のことは考えないようにすることは、
口でいうほど簡単ではないでしょうが、できるでしょう。
でも、好きで好きでたまらない人だったら、
考えるなと言っても無理でしょう。
空気みたいな存在だと考えようとすると、
免疫の低下も防げるのです。
でも、難しいといいます。
私もそう思います。
人により違いますので、
相手に対する心の持ち方を変えることで
俄然免疫が高まると、病気は日に日に良くなっていくはずです。
薬も効いてきます。
小脳の寿命の記憶も回復してくるのです。
そうでないと本来の寿命が極端に短くなってしまうのです。
昔、昔、医者の同僚が奥様の死の床で、
奥様の名前を必死で呼んでいました。
ひょっとして、その愛情が相手の死を早めたんじゃないかと、
今、思うのです。
こう書いている私はなんてひどいヤツなんだろうと思います。
あなたならどうします。
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