医師・豊岡憲治さんの嘘のようなホントウの話

第232回
ついてませんね

初めての人から、電話で父親が脳腫瘍で、
もうすぐ死にそうなような症状を話し、
なんとか見てくださいということで、
今にも泣き出しそうな声をして頼み込まれました。
私のやりかたは普通の医者と違うので、
その当りを了解して電話していると、
はやとちりした私の方が愚かだったのですが。

押っ取り刀で患者さんの家までいくと、
一時外泊で患者さんがいました。
電話の主はいないのです。
自分が現在住んでいる所からかけていたのでした。
場違いな所に来たような感じでした。
それで、患者さんを拝見して、
一目瞭然に左側の脳が黒く見えるのです。
そんなことを患者さんの家族に話しても始まらないので、
家族にOリングテストの話しをして、
こういうふうにして診察しますよと了解を取りました。

家族の人の指を借りて、やはり左の脳に異常があること、
それと漢方薬はこれとこれがいいようですと。
これもOリングテストして合せました。
桂枝加葛根湯と茵陳五苓散です。
電話を聞いて、恐らくこれだろうと、考えて持って行ったものです。

ここまではいいのですが、
患者さん本人が薬はいらない、ということでした。
患者さんに家族が病名を伝えてなくて、
家族に頼まれて行った私は愚か者でした。
ま、しかたがない。
でも、脳腫瘍の部位は腕に時計をしているために
極端に血流が障害されていたので、時計を外しました。
そうしたら、家族が言うには、
今まで言葉が出なかったのが、出るようになったというのです。

でも、もう何もできないし、
帰り際に患者さんが今まで寝ていた場所を拝見できないか、
と言いましたが、それもダメということでした。
寝室になにかないですか。
電磁波を発するようなものないですかと聞きました。
何もないです。
冬電気毛布をずっと使ってました。
二階で寝ています。この部屋の上です。
この部屋にはエアコン、電動式マッサージ器が
でんと置いてありました。
電気毛布などがそんなに悪いものですか?
と家族が聞き返しました。
そうですよ。悪いんですよ。だからこういう結果になったでしょう。
居場所のない所に長くいることはできないので、失礼しました。
いくらですか。
何もしてませんので、無料です。
帰り際、車を門にこすり、大出費でした。
ふんだりけったりの日でした。


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