医師・豊岡憲治さんの嘘のようなホントウの話

第97回
甘草瀉心湯はどちらですか?

この題名を見てなんだろうと思うでしょうね。
甘草瀉心湯というのは、
漢方の原典の傷寒論と金匱要略に載っているのです。
そして、その処方の中に人参が入っているかいないかで
効果が全然違うのです。
この薬は胃腸症状に効果的に効くのですが、
その他に現在の統合失調症やそれに類似した症状の人、
うつ、うつと統合失調症の複合状態の人など
に非常に効果的なのです。
こういう症状で困っている人はたくさんいると思います。

甘草瀉心湯の処方は、
甘草、黄今、乾姜、黄蓮、大棗、半夏、
これが傷寒論に出ている処方です。
金匱要略はこれに人参が加わるのです。
金匱要略にでている証が統合失調症に似ているのです。
どちらが正しいか、人により違うのですが。
生薬を患者さんで一つ一つ合せていくと、
統合失調症やそれに近い人、鬱状態の人は、
人参が入らない処方が効果的だというのが
出てくることが多いのです。
金匱要略の処方は半夏瀉心湯に非常に似ているので、
半夏瀉心湯で代用も可能です。
今まで多くの漢方の先生方は
半夏瀉心湯に近い処方で対処しているのです。
それでうまくゆかないのでないかと勝手に推測してます。

25歳の人ですが、
うつ状態がここ数ヶ月続いているのです。
子供の頃に頭部を打撲したことがあり、
脳に打撲で出血した反応があります。
そういう影響が後々まで残るのです。
そこで出血にはきゅうき膠艾湯、
その他に紫蘇の入った処方の半夏厚朴湯、それと甘草瀉心湯です。
電磁波も大量に浴びていましたので、
寝室を片付けるように話しました。
2週間後に別人のようになって来院しました。
明るくにこにこしていました。
脳の出血の後の反応はなくなりました。電磁波も浴びていません。
脳のセロトニン、ドーパミン、βエンドルフィンなどの反応も
正常でした。
今度は、甘草瀉心湯の他に、麥門冬、麻子仁の入った処方で、
炙甘草湯、それと酸棗仁の入った処方の酸棗仁湯を投与しました。
この人は食べものの人参も脳に良くないのです。


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