医師・豊岡憲治さんの嘘のようなホントウの話

第69回
森を見て、木を見ず

急性虫垂炎のCTの写真をオーリングテストしてみると
色々な事がわかります。
原因となっている細菌は、ぶどう球菌や化膿連鎖球菌のようです。
炎症が起きている部位にはアセチルコリンが大量に反応し、
そこには好中球の反応が少なく、リンパ球が大量に反応する。
つまりリンパ球が炎症の部位に集まっていて、
好中球は少ないのです。
炎症の周囲全体はアドレナリンが多く反応し、
好中球の反応も多いのです。

治っていく人は、炎症の部位にアドレナリンが増してきて、
アセチルコリンが正常になり、好中球が大量にあつまり、
細菌をやっつけて、リンパ球が正常の量になり治っていきます。
虫垂炎が破れていたりしている人では、それの程度が強く、
アセチルコリンの量も大量に反応し、アドレナリンの量が少ない。
その結果、好中球の数と働きが極端に悪くなり、
リンパ球が大量に集まっているのです。
細菌に対しては好中球が多くあつまり、
働かないと細菌をやっつけることができなくなり、
炎症はどんどん進行する結果になります。
虫垂炎の炎症がまだ起きていない周りの部位は
アドレナリンが大量に反応し、好中球が沢山集まっていて、
防御している様子が見られます。
この時血液検査をしてみると、白血球数が多くなっていて、
白血球のリンパ球と好中球の数の割合は正常の時より、
好中球が増えているのです。
血液検査だけを見ていると、炎症の部位でも
好中球が増えていると勘違いする結果になるのです。
だから活性酸素を問題にしたくなるわけです。

現場ではちょっと違ったことが起こっているのです。
身体全体をみると虫垂炎の時は交感神経側に偏っているのですが、
虫垂炎の現場では、副交感神経側に極端に偏っているのです。
偏りが大きいほど虫垂炎は悪化していきます。
この時、手の中指と薬指を刺激すると、
虫垂炎の現場では、大量のアセチルコリンは
正常に向かって少なくなり、
少なくなっているアドレナリンは増加して、
好中球が増えて、細菌をやっつける方向に向かうのです。

漢方薬で治療する場合は、
化膿連鎖球菌とぶどう球菌を治療する薬と
炎症の部位は鉄の大量が反応しますので、
この鉄を正常まで下げる薬を併用するわけです。
この細菌感染には、柴胡桂枝湯や桂枝加芍薬湯などが使われ、
鉄の排泄には桂枝茯苓丸が使われます。
勿論、人により処方は違うことがあります。
身体全体の反応である血液検査と炎症の現場は違う。
したがって、森を見て、木を見ずということが起こるのです。


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