第922回
とんかつ単品で息切れしないか、豚組 2
メニューは潔いというかトンカツだけしかありません。
居酒屋の姉妹店ですから、
ツマミやそれこそ居酒屋料理が豊富ではないかと
楽しみにしていたのでちょっとがっかりしました。
トンカツは銘柄豚のみで、
岐阜のけんとん豚がロース、ヒレで2千円前後。
白金豚が3千円前後、
そして限定品のイベリコ豚のトンカツはロースだけで4800円です。
各トンカツには香の物やご飯、汁がついており、
珍しくないですがキャベツのおかわりも自由。
このイベリコ豚、おそらくトンカツ一品としては、
交詢ビルの「かつぜん」の霧島黒豚に匹敵する高価格、
単品としては日本一高いトンカツの一つといえると思います。
香の物、キャベツがおかわり自由とはいえ、
そうは安易に家族で注文できない代物です。
揚げ時間が20分はかかるということで、
その間にでてきたおまけの煮物(ラタトゥーユみたいなもの)と
香の物でビールを飲んでじっと待つことになります。
酒飲みの友里としては大変つらい時間でした。
パン粉や油にまで拘ったというそのトンカツは、
確かに「キムカツ」とは次元が違うもの。
ソースは勿論つけず、塩なしでも食べられるでしょう。
これがジューシーというもの、豚の旨みだ、食感だ、
と何の疑いもなく「キムカツ」に並んでいる客を引っ張ってきて
食べさせてやりたくなりました。
最高額のイベリコは元が肉、脂とも濃厚なので、
最初のインパクトには驚きますが食べきるにはしつこすぎるかも。
わざわざトンカツにしなくても
おいしく食べられる調理法が他にあります。
白金豚がバランスもよいのですが、
3千円前後という価格を考えると
リピートするトンカツ屋としてはつらい。
CPを考えると2千円前後のけんとん豚で充分と考えます。
しかし入店してから20分待っても
食べ終わるまで1時間かかりません。
お酒をゆっくり飲んでいたらトンカツが冷めてしまいます。
他の高額トンカツ店で出している
ツマミや居酒屋料理をなぜ出さないのか。
食べ物の売上だけではなく、
酒類の売上も急増するはずだと思うのですけど。
価格が高いですから、夜もそう回転するものではありません。
やりかたによっては、客単価を上げられると思うのですが、
一人の客から売上をむしり取る営業戦略でないのは、
経営者が真っ当な考えの持ち主なのかもしれません。
<結論>
本当にトンカツ単品のみ。
わざとゆっくり出すことによって、
待ち時間にサイドオーダーを沢山頼ませて売り上げ増を狙う
「尾花」や「蟻月」より誠実さを感じますが、
酒飲みがゆっくり出来ず、客層が限られてしまリスクがあります。
この高額トンカツ専門で今後も息切れしないものなのか、
人事ながら心配です。
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