| 第914回高すぎるがこれがスッポン料理、さくま 1
 赤坂見附駅から徒歩で10分ほど。虎屋の裏路地という
 メインストリートとはうって変わって
 人通りの少ないマンション街の一角に、「さくま」はあります。
 一年中スッポン料理を扱う専門店。
 京都で300年以上続く老舗「大市」の長男が
 昭和のはじめに東京に進出してきて
 この地にオープンしたと聞きました。
 神戸の「あら皮」しかり、博多の「い津み」しかり、
 そして「大市」から別れた「さくま」と、
 東京へ進出した分家は、
 本家とはほとんど絶縁状態になっていると聞いています。
 なぜ、東京に進出した分家(長男の場合もありますが)は、
 本家と一線を画してしまうのでしょうか。
 地方とはいえ本家のプライドと、東京で成功したというプライドが
 ぶつかってしまうのかもしれません。
 スッポンのコース料理というと、煮凝りから始まって、刺身、から揚げ、茶碗蒸しなどの後、
 まる鍋、雑炊とスッポン尽くしが続くのが一般的だと思いますが、
 「さくま」は「大市」と同じくシンプルにスッポンに関しては、
 基本的にまる鍋と雑炊だけとなります。
 よって、夏でも熱い鍋を出しますから当然客足は鈍ります。
 養殖といえどスッポンは冬眠すると思いますので、秋口が旬のはず。
 盛夏はともかく、
 初秋はスッポンが一番おいしい時期ではないでしょうか。
 そして、
 空いている夏に訪れるのも質的には悪くはないかもしれません。
 京都の本家と違って「さくま」は同じ一軒屋風でも民家風ではなく、料亭スタイル。
 重厚で支払額に見合った環境を提供してくれるでしょう。
 6室の個室だけですが、
 特に中庭の見える部屋は趣がありお勧めです。
 <明日につづく> |