| 第908回高額な民宿料理だ、なかひがし 2
 1階は12席のカウンターで、カウンター内にはウリの「おくどはん」がどんと構えてあります。
 奥の厨房も含めてかなり余裕のスペース。
 2階はグループ対応なのでしょうか。
 団体客がぞろぞろ上がっていきました。
 厨房スタッフ、女性スタッフと人件費もかなりかけています。
 当初の想像とはまったく違って、
 かなりの大箱な店である事がわかりました。
 初めての訪問だったので最高の1万5千円を選択、これは京都ではかなりの額です。
 祇園の高額カウンター懐石料理店に相当する価格設定に驚きました。
 料理は12皿でご飯のお替りも出来るので量は充分といえます。
 スタートの八寸は、摘み草など色々な野菜や小魚が、
 揚げ物、煮浸しなどで供され種類も多くおいしい。
 造りは予想通り鯉。
 大根シャーベットや山椒なども添えられ目先を変えていますが、
 しかしどうってことありません。
 鮎は頭を下にせず水平でかなりの時間をかけて焼いていました。
 普通の質で傑出しておりません。
 2回転目の客の頃には、鮎の焼時間がかなり短縮されていました。
 調理のクオリティが安定していないようで、
 この店の入店は早めに限るということでしょう。
 岩魚のタタキ、タニシなど
 京料理とは一線を画する食材の使用に新鮮味は感じますが、
 京都に来てまで食べるものなのかどうか。
 唯一の京らしい食材だった鱧炙りのお椀は、
 鱧自体の質に疑問が残りました。
 胡麻和えや加茂なすの炊き合わせなど野菜料理もでましたが、
 「草喰」と銘打つほどの草や野菜の量、拘りを感じません。
 しかも、炊き合わせは温かいままで味が濃すぎです。
 もう少し上品にそして冷まして
 食材に味をしみ込ませた方がいいのではないでしょうか。
 滋賀の天然鰻はタレが甘すぎで私の好みではありませんでした。
 有名なおくどはんによるご飯ですが、
 これまた傑出しているとは言いがたい。
 自宅の土鍋で炊いたものとたいした差を見出せなかったのです。
 土鍋で炊かない人にはあり難いでしょうが、
 これがウリというのも寂しい気がします。
 女将の丁寧な接客で気持ち良く店を後に出来ますが、
 マスコミで持て囃されるほどの店なのかどうか。
 価格の安いコースには、鰻や鱧が出ないようです。
 <結論>タニシ、岩魚、鯉と
 普段あまり口にすることのない食材が食べられますが、
 この食材でこの価格、そして2回転営業。
 この店、非常によい商売しています。
 はっきり言えば、「高額な民宿料理」と判断。
 混んでくると鮎など焼物の焼く時間が半減します。
 早い時刻の入店をお勧めします。
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