| 第907回高額な民宿料理だ、なかひがし 1
 京都の人気店「草喰 なかひがし」。摘み草料理で有名な美山荘出身の主人が独立して、
 いつのまにか予約困難な店になりました。
 しかし、この店のウリ、キャッチに私は疑問であります。
 「メインディッシュ」と称した
 「おくどはん」で炊いたご飯とメザシが有名ですが、
 この食材がどうしてメインを張れるのか。
 他には摘み草と川魚のコース料理がウリのようでして、
 他の有名京料理店の使用食材とは一線を画するもの。
 言い換えれば、
 かなり食材の価格が落ちるものを調理していることになります。
 しかし、予約を入れるのが大変な和食屋になっています。いつでも誰でも簡単に予約が出来て訪問できる店ではありません。
 月初めの1日に翌月の予約を受付けるので、
 客は予定を立てるのが大変です。
 摘み草と川魚の和食に行くのに、最短で1ヶ月、最長で2ヶ月先の
 スケジュールを考えなければならないのですから異常です。
 記念日のグランメゾンの予約ならわかりますが、
 この店の雰囲気、コンセプトでは、記念日の食事は辛い。
 京都駅からタクシーで2千円ほど、思ったより距離がありました。山が迫っている地域です。
 店は2階建ての一軒屋で、
 18時オープンのはずですが、実際は17時過ぎから客を入れています。
 実は前日、店から早めに入店してくれないか、
 17時半に来てくれないか、といった電話がありました。
 次から次に押し寄せる予約を断れず、
 早めにまわして2回転営業をする気だなとすぐわかりました。
 しかし、摘み草と川魚、そしてメザシとご飯がウリといっても、
 夜は数千円で終わる居酒屋価格ではない高額和食屋であります。
 客を2回転まわす営業をして良いのだろうか。
 ここにも、
 「儲けられる時に儲けてしまおう」的な飲食店業界にありがちな、
 安易な考えが透けて見えてしまうのです。
 今の過熱人気が、未来永劫続くと思っているのでしょうか。
 この世はすべて「山あれば谷あり」。
 地道な営業が店の寿命を延ばすと私は考えるのですが、
 やはり京都にも
 「損して得取れ」の文言が載っている辞書はないようです。
 <明日につづく> |