自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第899回
表参道ヒルズの初日に行ってしまいました 1

やはり持ち前のミーハー心を抑える事は出来ませんでした。
表参道ヒルズのオープン初日に行ってしまったのです。
暇な奴だと思われるかもしれませんが、
他にも暇な方がいらっしゃるらしく、
歩道には入場待ちの行列ができていまして、10分ほど並びました。
先週述べた入居が決まっていないスペースは、
歩道から丸見えでみっともないことこの上ない。
何か装飾品でも飾ってごまかせばいいと思うのですが、
募集中の案内を置いてまで早くテナントを入れたいのか。
本当に森ビルにはたいしたブレーンがいないようです。

さて予想通り、有名設計者のこの建屋は使い勝手が悪すぎです。
3階までの中央部分が吹き抜けになっており、
その周りに並木通りに平行してスロープを作って
その両外側に店を配置しています。
歩道側のスロープは並木通りと同じ傾斜なのですが、
3階から1階まで
スロープで回りながら降りるように設計していますので、
歩道と反対側のスロープは並木通りとは逆勾配になり、
なんだか変な感じです。
歩いて3階から地下まで客を移動させたいのでしょう、
階段やエレベーターはスロープの途中にはなく両端だけ。
エスカレーターはメインの入り口側だけで
しかも大変狭いものです。
多勢の客を誘致したいはずですが、
肝心の建て屋は多勢の客が徘徊できるようになっていない矛盾。
動線があまりに悪すぎです。
吹き抜けなど商業スペース以外の見てくれに力を入れるのが、
有名建築家のお約束。
発注側のことより、
自分の名声を更に高めるためのパフォーマンスを
第一に優先するからです。
普通の建屋に比べてかなりの建築費と読みました。
安藤氏に支払う設計費も大変な額でしょう。
でもそれらはテナントを経由しますが、
来訪者、客にすべて転嫁されるものなのです。

過熱感を煽るためか、
入場制限という手法をとって歩道に訪問客を行列させていますが、
周りにはかなり迷惑なこと。
こんな奇を衒った建て屋をつくってしまって、
環境を激変させてしまうのがわからない確信犯なのか、
それともわかっていてやっているのか。
森ビルはじめ
大手デヴェロッパーは自身の利益しか考えない会社だというのが
あらためてわかりました。

このヒルズの特徴は、各店自体、
特にスロープにある店の規模は小さいということ。
そして、地下にもいくつかありますが、
飲食店はほとんど3階へ位置させているということです。
しかし、オープン初日でも
客があまり入っていないショップがいくつかありました。
先が思いやられることでしょう。

そして、この雰囲気、つまり観光客を主体にしている
森ビルのヒルズに出店してきた「ハリー ウィンストン」。
雰囲気まったく合っておりません。
飛び込み客や観光客を相手にする営業形態ではありませんから、
その出店意図がまったくわからないのです。
アポをとって商談、
手付けを払って数ヶ月先に商品引取りのオーダー商売ですから、
表参道、しかもヒルズ系の建屋に合うとはとても思えないのは、
常連客でなくてもわかると思うのですけど。
この出店が成功しないと、
更に銀座の店の商品にその分が上乗せされますから、
常連客には大変と思うのは
「勝ち組」でない部外者である友里だけか。
入っている飲食店はすべて廉価な店です。
予想する客層を考えた結果だと思うのですが、
そこにこのNYの超有名高額宝飾店。
またまた森ビルのコンセプトはバラバラというか、
テナントとして入ってくれれば、
その後の商売は関係ないとのスタンスなのでしょうか。
明日は飲食店の店外からのレポートです。

<明日につづく>


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2006年2月20日(月)

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