第861回
レストラン評論はしないというけど・・・
まったくその場しのぎというか、
ころころスタンスが変わる人ですね、「さとなお」さん。
「ジバラン」なる言葉をうみだし、
自腹族の代表として、
レストランを点数評価したことが世間に受けて、
次から次へ出版、取材と
本業を妨げはしないかと思うほど
売れっ子になったと思っていたのですが、
自身のHPで、レストラン評論との決別宣言をされていました。
その直後に「赤坂菊乃井」について批判していたと
突っ込むつもりはありません。
今日は「さとなお」さんの原点について考えてみたいと思うのです。
関西系の新聞で飲食店のコラムを長年担当されていたと聞きました。
その後、彼の元に集まったファンである一般客と
「ジバラン」を結成して、
HP、出版と勢いがあったときもありましたが、いつの間にか撤退。
しかし、自身の副業は衰えるどころかますます順調なようです。
最近は、本業と副業がごちゃ混ぜになっているようにも感じます。
しかし、「さとなお」というペンネームの原点は、
一般客、自腹客の立場にたったレストラン評論ではないか。
それが世間に受けたのではないか。
この業界にどっぷりつかってしまって
旨みをだいぶ享受してしまったのでしょうか。
すっかり牙やツメが取れてしまってきたと思っていたら
今回の評論決別宣言。
電通退職後の生活を考えると、
飲食店業界に批判的な立場をとり続けるより、
沖縄へいって生産者や店の宣伝をしたように、
「スポークスマン」になった方が
おいしく生き残れると考えたのでしょう。
初心をどこへ置き忘れてしまったのか。
ウリは「自腹」と「反骨」にあったと思うのですが、
個人商売のためとはいえ、
ただの「店紹介」とつまらない「エッセイ」だけを
指示する読者が多いのでしょうか。
世には、お笑いで売れたのに、
いつの間にか「画家」や「個性派俳優」に鞍替えするなど、
原点を忘れた人が必ずでてきます。
落語や料理評論より、
オペラやクラシックにシフトしたがっている人もいます。
より見栄を張れる肩書きを狙いたい気持ちはわかりますが、
世間はその人の原点を覚えているものです。
鶴太郎のその後は必ずしも順調ではないはず。
記念館もどうなったことやら。
「初心忘れるべからず」。
私への戒めにもなりますが、
「さとなお」さんや、来栖けい氏にも
かみしめてもらいたいものです。
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