| 第860回純粋な読者限定本、東京ハッピー・レストラン 3
 カード手数料でなぜ店の肩を持つ?
 今回も犬養さんが、実は彼女の最大の支持層である「純粋な読者」ではなく「料理人」、
 「店側」しか見ていないという例を挙げてみます。
 巻末に、たいした裏話でもないのに、
 「じつはこんな『裏』があるのです。レストランの経済学」
 というものがあります。
 私が以前示した、賃料などの具体的な数字による分析などではなく、
 単なる料理価格とサービス料の足し算しかしていない
 幼稚な主張もひどいもんですが、
 その後半に「カード手数料」について、
 手数料は店側の負担になるので
 楽しませてもらった店には気持ちよく現金で支払いたい、
 小さなマダムの店では月の手数料「15万円」が
 かなりの負担になり
 その額を「手伝い」にまわせばもっとサービスが行き届く、
 と訴えております。
 何を考えているのか。カード手数料率5%と仮定すると、
 月15万の手数料をカード会社に払うということは、
 カード支払いだけで300万円の売上があるということです。
 つまり、年商3600万円。
 現金支払いもありますから、
 4〜5千万円は超えているのではないでしょうか。
 この規模は、ちっとも「小さな店」ではないと考えます。
 しかし、こんな「揚げ足取り」を私は言いたいのではありません。私は犬養さんとぼやく店側に、大声で言いたい。
 「手数料払うのが嫌なら、カード会社との契約を破棄しろ」と。
 何も飲食店は絶対カード使用可としなければいけないという法律があるわけではなく、その選択は店の自由です。
 現に、「次郎」はじめ強気の営業している店は
 カード使用不可であります。あの「タムラ」もそうですね。
 「手伝い」を雇ってサービス向上したいなら、
 すぐさまカード不可の店にして手伝いを雇え!
 ではなぜそうしないのか。それは「売上」が落ちる可能性を心配しているからです。
 物事には必ず「裏」と「表」がありまして、
 カードは一方的にカード会社だけが儲けて
 店側が損するものではないのです。
 そんなシステムなら、資本主義では成り立たない。
 現金を持ち合わせていなくて食事が食べられなかった不便から、
 初めてカードというシステムを考え出したのは
 「ダイナース」と聞きました。
 客側の便利さから発したビジネスシステムではありますが、
 その客側の便利さが「集客」へ結びつくという
 店側のメリットがあります。
 また、法人カードの普及により、
 いわゆる「掛け」というものが少なくなりました。
 カードをきった瞬間、手数料は数%引かれますが、
 直ぐにカード会社に対する店側の受け取り債権となって、
 支払いは保障されるわけです。
 「掛け」にした会社や個人客がつぶれたりして
 支払い不可能になるリスクを回避できるわけです。
 カード会社がつぶれる可能性はかなり低いですからね。
 また、現金の保管、移動と言うリスクもなくなります。
 「集客」と「リスク回避」、
 これが店側のカードシステム導入の「メリット」だと考えます。
 どこの資本主義の世に、
 負担ばっかりで何のメリットももたらさないシステムを導入する
 世間知らずな「店」が居るでしょうか。
 ジャーナリストを名乗る割に、まったく検証なく表面だけをとらえて
 「純粋な読者」を間違って啓蒙しようとしている犬養さん。
 最高学府を出られた方の思考とはとても思えません。
 現に、いままでカード不可の店でも時勢に逆らえず、集客も考えてカードシステムを導入する店が増えてきています。
 また蒸し返すといわれるかもしれませんが、
 あの手数料を客へ転嫁していた麻布十番の和食屋。
 再三のカード会社の要請にも、
 客への転嫁をやめるのに抵抗していましたが、
 カード会社から契約を破棄するとの「最後通告」に、
 ついに折れたのは拙著でも書いたとおりであります。
 つまり、それほど「カード使用可」は
 店側にとってもあり難い看板であるという証左なのです。
 何がジャーナリストなのか。
 犬養さんがただの「店宣伝屋」といわれる所以が
 ここにあると思います。
 カードを取り扱いしているがなるべく使ってくれるなという店、もしくは導入しない店は、
 手数料を払いたくないからが一番の理由でしょうが、
 ある事をしている店では別の理由で、
 カード使用が都合悪い場合があります。
 それはカードの使用が、
 当局による売上の完全把握につながるからです。
 俗に言う「裏帳簿」による「売上除外」が出来なくなります。
 カードを導入していない店、カードを使用するのを好まない店が、
 すべて売上除外をしていると言っているわけではありません。
 あくまで、一部のよからぬ店という話であります。
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