第856回
ワインの諸々 86
やっぱり古めのワインはおいしい
先日、知り合いのワイン会で、
古めのワインを飲む機会にめぐり合いました。
最近は予算の関係で、2000年前後の若いワインや、
微発泡しやすいビオワインなどしか飲んでいなかったので、
期待して会に参加させていただきました。
結論は、やはり古めや古酒のワインははるかにうまい。
ロワールや南仏、オーストリアのビオワインはもとより、
大御所といわれるドメーヌ・ルロワをはじめ
ブルゴーニュのビオ志向の造り手のワインとは
まったく別物でありました。
自己顕示欲を前面に、
「飲んだ自慢」を敢えてさせていただくならば、
あまり古くはないですが、79年のDRCのグランゼシェゾー、
造り手は知らなかったですが、確か61年のヴォルネイ1級、
そしてまったく無名の59年のサンテミリオンでありました。
いずれも、そこらの店の保管のワインより10年は若く感じるほど、
果実味あふれるもの。
グレートヴィンテージではないものもありますが、
そこそこ優良なヴィンテージであったことも幸いしました。
さすが古酒、
古めのワインは素晴らしいとあらためて感じた次第です。
私は、巷のビオ崇拝者、
またビオで利益を上げようと企んでいる
インポーターやバイヤーに飲ませて
どのような反応を示すか見てみたくなりました。
昔はバレルセレクションなる言葉で、
特別なワインの印象を与えて営業していたと記憶している合田女史。
最近はビオを煽りまくっているようですが、
ビオにあらずばワインでないものなのか。
老舗でないかぎり、新参のインポーターやバイヤーは、
古酒の取り扱いは難しいものです。
ましてどんどん数が減ってきていますから、
簡単に輸入して売ることが出来ません。
価格も高くなっていますから、購買層も限られてしまいます。
よって、目先の変わったワイン、
目新しいワインを発掘して紹介しつづけて
ワイン購買層を開拓しなければならない
商売事情はわからないではないですが、
ここまで「ビオ」をカリスマ化というか
神格化してしまっていいものなのだろうか。
本当に、合田女史はじめビオの商売関係者は
ビオしか飲んでいないのかどうか。
結構、古酒やブルゴーニュのカリスマ造り手の高いワインを
個人的には好んで飲んでいるかもしれません。
最近はオーストリアのビオワインを主に取り扱っている
「六覺燈」の水野氏も、
昔はアンリ・ジャイエをかなり扱っていたと聞きました。
売るものと個人的な楽しみは実は別物、
というのは何もワイン業界に限ったことではないでしょう。
あの今をときめくヒューザーの小嶋社長も、
個人ではグランドステージではなく、
一戸建てに住んでいるくらいですから。
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