自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第785回
独立する料理人を援助するシステムはあるのか

第783回でもちょっと触れましたが、
料理人の独立と成功に関しては、
如何によいスポンサーとめぐり合う事が出来るかにかかっている
といって過言ではないでしょう。
親や親戚からの援助してもらう場合もありますが、
家が資産家でない限り、特に若い料理人の場合
その独立資金を借り入れだけで調達するのは難しいと考えます。

ヤラセに近いTV番組では、
コンペのようなスタイルで審査して
資金援助するものがあったと記憶していますが、
そのような擬ものではなく、
まともな援助システムは存在するのでしょうか。
小さな規模の店では板長なりシェフが、
仕入れ、メニュー構成、調理などの権限を持ちます。
銀座の和食の有名店で、二代目が板長に任せっきり、頼りっきりで
バブル崩壊後の状況変化に対応できず、
土地から店からすべて失ってしまった例を思い出しますが、
経営側(スポンサーも入る)と板長、シェフとの関係は、
ある意味難しいでしょう。
完全な給料制ですと、
給料を抑えるとよい人材が来ないのは当たり前。
かといって高額を支払って固定費をかけても、
利益が何らかの形で給料に反映されなければ、
モチベーションを保つのは難しい。
たとえモチベーションを保って店を流行らしても、
見返りがなければ、移籍を考えるか、
仕入先との不適切な関係に陥るリスクがあるからです。

ドンブリ勘定でシェフに任せっきり、
損得に文句を言わない太っ腹なスポンサーは別にして、
シェフとスポンサーとの理想的に利益などを共存できるシステム、
客を蔑ろにするならば数ある多店舗展開の会社が、
見栄を張って有名シェフの名を借りて展開している現実をみると
可能なのでしょうが、
客とも共存していける店にするには難しいことかもしれません。
このような援助システムの発案、構築に興味があるのですが、
今はこの業界と一線を画して店評価をしている身。
友里引退後、
このようなシステムを考えてみる日がくるかもしれません。


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2005年10月15日(土)

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