| 第774回やはり地元のフグは格別、い津み 1
 和食における冬の高級食材は松葉蟹にトラフグでしょうか。新鮮さが第一の松葉蟹は、地元で食べるのが一番、
 東京でおいしい松葉蟹を食べるのは不可能と良く言われます。
 京都でさえも新鮮な有名港で水揚げされるブランド松葉蟹、
 例えば「間人蟹」(たいざがに)などには
 なかなか巡り合うことはできません。
 しかし、フグは〆てから
 しばし寝かして食べる方がはるかに旨いと言われています。
 その場で〆たフグを看板にしている店が
 今尚存在しているのが不思議なのですが、
 逆を言えば東京でも
 地元の店と変わらない味を提供できるのではないかと
 私は思っておりました。
 東京で屈指の請求額である六本木「味満ん」、
 そして銀座の「福治」など
 マル(1匹丸ごと)ではなくミガキ(解体したもの)で
 よい質の物を仕入れる東京のフグ屋で私は満足していたのですが、
 昨年地元の店に行き考えが変わりました。
 旬になるとわざわざ博多迄食べに行くという知人の紹介で、たまたま出張のついでに寄った「博多 い津み」。
 福岡駅から乗ったタクシーの運転手は
 「料亭」と表現しておりました。
 確かに、玄関はかなり重厚な構えで高級感があります。
 しかし、周りを良く見てみると意外にも、この店は
 かなり老朽化したマンションの1階部分であることがわかります。
 脇のマンション入り口はかなり狭くて雑然としています。
 古い建て屋の張り出した1階部分を改装しただけのものでした。
 ホールは6卓と思ったより小さいようですが、個室や座敷があるようでかなり余裕のスペース。
 ホールの椅子は軽くて浅いため座りにくく、
 長居を考えていないのが残念。
 主にコース制で、天然トラフグが26250円、
 蓄養(天然の幼魚を育てたもの)が15750円と2種ありますが、
 ここ迄来たら迷わず天然物でしょう。
 <明日につづく> |