第766回
マスヒロさんへの根本的な疑問 1
辻静雄さんとのやりとりは本当なのか
自分の主張を世間に受け入れてもらいたい、
そして世間を啓蒙したい、
と考えた場合どうしたらいいでしょうか。
名が世間にそれほど知られておらず、実力が未知の人の場合、
手っ取り早い方法として有名人の名を借りた
「権威付け」が考えられます。
HPやブログの主宰者にもよく見られる傾向ですが、
あの人と会食した、あの生産者と親しい、
など意識してか無意識かは本人のみぞ知るところですが、
ほとんどの人がこの手法を取り入れています。
今では超有名人である山本益博氏も、
前々から巧みにこの手法を取り入れてきました。
デビューした80年代は、有名ホテルなどのシェフとの関係を前面に、
そして90年代からは「次郎」の小野二郎さんや
ロブション、フェランとの親密さを
嫌味なまでに押し出してきました。
「純粋な読者」はこの手のパフォーマンスに弱いもの。
担いだ人が大物、
有名人であればあるほど効果が期待できるのですが、
今のところ彼の「コバンザメ式権威付け」は大成功のようです。
その中でも、彼の今の地位確立に大きく役立ったというか、
利用された人が「故 辻静雄氏」ではないでしょうか。
世界一の規模を誇る調理師学校の創立者、
日本のフランス料理の開祖、
正に日本の料理界の重鎮と言われている人ですが、
山本益博氏はこの辻氏との出会い、
やり取りを自著などで大々的に公開し、
とり方によっては
「辻氏の後継者」に任命されたかのような錯覚を与えて
権威付けに成功しました。
正確には記憶しておりませんが、簡単に書いてみます。
かなり衝撃的にデビューしたマスヒロさん。
受け入れてくれる人の反面、
かなりの反発も業界から受けたとのこと。
ある日偶然、傷心なマスヒロさんはある店で偶然辻静雄さんと遭遇、
辻さんから
「君は世間で色々言われているけど、
食べまわっている食費代は店からでていたりしていないだろうね」
と問われ、
「すべて自分のお金で食べています」
と返答、
感激した辻さんが、
「最後のひとりとなっても私・辻静雄は君を応援する」
といった言質をとったというものです。
経費で食べていると自慢している
現在のマスヒロさんとはかなり当時は違ったようですが、
辻静雄氏もが認めたグルメ青年、
この権威付け、宣伝効果は絶大なものだったはずです。
どう読んでも、辻氏公認の料理評論家と錯覚してしまいます。
でも、この「やり取り」に立ち会っていた人がいたのでしょうか。
二人だけのやりとりならば、
相手が故人になってしまっては、言いたい放題ではないでしょうか。
辻氏が故人となってしまった現在、
この話の真偽を証明する事はできないのです。
言った者勝ちかもしれないのです。
しかも本当に二人が遭遇したのかどうか、
神のみぞ知るところでしょう。
マスヒロさんの権威付けでは、
他にパリの「ホテル ブリストル」での、
「ミスター トリュフ」事件があります。
フレッシュと表記していたトリュフが実は違い、
それを見破ってから以降、
ホテルで「ミスター トリュフ」と尊敬されているといった
彼独特の嫌味な自慢話ですが、
そんな丁々発止のやり取りが出来るほど語学に堪能だったのか。
冷静に読み返してみると、これまた密室に近いやり取りでして、
へそ曲がりの友里はそのまま素直に受け取れないのです。
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