| 第717回勘違い移転で実力露見か、直城 2
 
 フード・レストランジャーナリストたちは盛んにシェフが本場四川の現地で1年修業してきたことを書き、
 よって読者に素晴らしい料理を提供するとの
 錯覚を与え続けています。
 確かにフレンチやイタリアンと違って、日本の料理人が
 中国本場で修業するのはまだ珍しいかもしれませんが、
 そのわずか1年でどれほどの成果があげられるものなのか。
 イタリアやフランスだったら、
 1年だけの修業では宣伝効果にならないだけに、
 彼らの異常な肩入れが気になります。
 オープンキッチンにシェフをいれて男性は3名、ホールは修業時代に知り合ったというのがウリの
 中国出身のマダムともう1名。
 13卓と個室などがあり総計30名ほどもキャパだと思います。
 町田の時は、単品料理とコースを併用していましたが、
 麺を頼む客とコースの客が重なってやりにくかったとして
 この店では、5250円のコース1種で勝負してきました。
 しかし、私は町田の店に何回か行きましたが、
 我々以外コースを頼んでいる客を見かけませんでした。
 場所柄ほとんどの客は単品を頼んでいたはずで、
 それほどやりにくかったのでしょうか。
 単に、コース1種に絞って、
 手間と食材の節約を狙ってきたと推測せざるを得ません。
 コースは冷菜を含めて7皿にスープとデザート。ご飯ものが選択性で、麻婆豆腐か麻婆茄子とチャーハンのどちらか。
 野菜炒めの時もありました。
 一皿一皿は量も少なく、よって総量もかなり控えめ。二人分をあわせてもこんな少量を鍋で都度調理ができるのか、
 造り置きではないかと疑ってしまうほど物足りません。
 冷菜の3品は「しったか」やタコ、鶏や豚、
 キュウリやジャガイモ、と海産、肉系、野菜とわけているようですが
 どこでも食べられるもの。
 そして一番の問題は、コース料理の良さがでていないことです。
 四川料理は、麻、辣、甘、辛、酸、熱、冷、香など
 メリハリきかした料理の組合せだと思うのですが、
 各皿四川風とは称していますが、
 四川唐辛子、花椒を使っているようですが
 すべて中途半端なチョイ辛なもので、
 まったくメリハリがありません。
 緩い料理、同じトーンの皿が続くのです。
 少なくとも夜2回の訪問で、酸味を押し出した皿には出会えず、
 ライチを使った甘辛はありましたが、
 他は食材がかわるだけで一本調子が続くといっていいでしょう。
 しかもどれも傑出した旨さや特徴を感じません。
 量も足りないのではないでしょうか。
 女性と二人でも、坦々麺を追加してようやくお腹が満足、
 しかしその坦々面も緩いもので、
 四川料理専門店としては満足できるレベルではありませんでした。
 しかし、ランチで麻婆豆腐を食べて驚きました。夜より辛く痺れるものだったのです。
 各料理1200円前後と高い値付けで、野菜やオードブル、点心と
 各300〜400円で追加できるシステム。
 この住宅街ではかなり高いと思うのですが、
 結構客が入っているのですからわからないものです。
 生ビール600円、花彫紹興酒2700円と酒類は安め。ワインも置いているようです。
 そういえば大谷さんは店でワインを飲んでいましたね。
 問題のシェフの娘さんの「お出まし」はやはりありました。
 厨房横のドアが開いて店を覗いていましたが、
 シェフ一家の住居が店と隣接しているのでしょうか。
 だとすると、彼らの居住地の地代も売価に乗ってくるのかどうか、
 ちょっと疑問です。
 <結論>大谷さん、梅谷さん、犬養さんと
 最強煽り軍団のバックアップよろしく、
 今のところそこそこ客入りはあるようですが、
 四川料理の名店との先入観を与えられて入店、
 しかし満足して帰る客がいるのでしょうか。
 多少高くなりますが、近くの都ホテルの「四川」の方が
 CP含めてまだ満足な「四川料理」を提供すると考えます。
 でも未だこの地でよかったかも。
 銀座なら簡単に埋没してしまうでしょう。
 |