自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第716回
勘違い移転で実力露見か、直城 1

主人のファーストネームを店名にもってくるという
その意気込みはわかりますが、私は最初聞いたとき、
仮面ライダーのネーミングを連想してしまいました。
昨年、町田にある「随息居」への2回の訪問で、
立地が悪いために逆に下駄を履かされて評価が甘くなった
「過大評価の店」と確認、
勘違いして都心に出てこないことを祈ると
いくつかのコラムで〆たのですが、
周りには冷静に判断できるブレーンがいなかったのでしょうか。
今年3月に調子にのった息子が高輪警察の近くに
「チャイニーズレストラン 直城」として独立してきました。

梅谷昇氏や大谷浩己氏、犬養裕美子女史らが推し進める、
「今年は中華を流行らそう」運動にのったのか、
3氏の覚えめでたくマスコミに露出しております。
シェフの熱き思いが、
コース料理5250円1種だけという営業から伝わってくると
梅谷さんは書いていますが、
オープン当初シェフが力を入れたのは、料理の創造ではなく、
PCでのネット検索だったようです。
片っ端から自店の評判をチェックしていたのでしょう、
シェフの子供が店内をウロウロしているといった内容でも、
プライバシーの侵害と難癖をつけて、
レストランレビュー管理会社や、
個人のブログ管理会社に執拗に抗議し、削除させていたようです。
自分から勝手に店内へ出てきた娘を、
客が不愉快に思ってネットに書いただけで、
なぜプライバシーの侵害なのか、
シェフの自分勝手な性格が読み取れます。
料理の研鑽を怠ったかはわかりませんが、
日夜のネット検索に体が疲弊してしまったのでしょうか、
6月になってシェフは入院、
数日間店をクローズせざるを得なかったようです。
今後は、ネット検索に明け暮れてつまらないレビュー潰しをせず、
その分休養をとっていただきたいものと考えます。

住宅街のマンションの1階に「直城」はあります。
しかしシェフは熟考してこの地を選んだのでしょうか。
店近くになりますと、宣伝用のピンク色の幟が街角に目立ちます。
隣接する美容院のものなのですが、いかにも安っぽい。
しかも、直城の入り口付近にも立てられているので、
直城までチープ感をモロにうけることになります。
店内の設計は、
「センチュリースカイ」という会社に依頼したようですが、
どちらかというと飲食店では
居酒屋、お好み焼き屋などB級店が主体で、
他は美容院などに実績が多い設計会社だとネットで知りました。
看板のロゴというのか水色のフォントがまずミスマッチ。
読者の方から聞きましたが、
つのだじろう、わたなべまさこ先生の名作「ガラスの城」風だそうで
モロに浮いています。
重厚感、高級感などまったくないロゴで、
なぜこんなものを採用したのか、
センスを疑ってしまいました。
内装はやはりというか予想通り高級感はありません。
フローリングでそれなりに
小洒落た雰囲気でまとめようとしている努力は認めますが、
どうしても「B級」&「美容院」を得意としている設計会社の作品
という先入観がよい印象をもたらしません。
しかもこの設計会社のHPでは、
工事例として「直城」を「創作中華料理屋」と紹介しています。
大谷さんや犬養さんが宣伝するような
「本格四川料理屋」ではないと
内外装設計会社は判断しているのでしょうか。

そして、あるものが更に追い討ちで
この店のセンスのなさを露呈させているんです。
それは何かというと、
大谷浩己氏の著書「フランスワインの12カ月」が
入り口を入ったすぐ目の前の目立つところに
堂々と飾ってあるからです。
おいおい、こんな本知っている人いるのかよ、
とアマゾンで検索したら、
1999年発行で現在はユーズドでしか購入できない本ではないですか。
さして話題にも売れたとも聞かなかったこの本、
今更なぜ飾ってあるのか不思議だったのですが、
初回の訪問では同じホールに態度のでかい人が食べていると思ったら
その大谷さん本人。
東京情緒食堂では
今年のニューオープンの店では第三位にご推薦と、
両者はかなりズブズブな関係であることがわかりました。
おそらく、今年発売の「東京最高のレストラン」でも、
大谷さんの指導よろしくニューオープンの店として
大々的に推薦してくるのが読めてしまうのです。

<明日につづく>


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2005年7月26日(火)

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