自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第687回
シェフ、板長に聞いてみたい その3
タダ飯や袖の下の要求が本当にあるのか

昔から根強く噂されている問題です。
プロとして料理店の評価や紹介をする側の人が、
対象となる店に対して、
「タダ飯」や「袖の下」を要求しているという話。
雑誌や本でよく書いてあげるから
とアプローチしているとのことですが、
以前のコラムにも書きましたが、
逆に店側から
彼らにアプローチする場合もあるという話も聞きました。

私は既存の料理評論家、
フード・レストランジャーナリストたちに対して、
店側との癒着に対して、声を大にして問題にしてきました。
どこそこのシェフから誘いがあった、シェフと一緒に食事をした、
など個人的に親しいことを自慢する日記が
公然と出回っていた時期がありましたが、
店側のスポークスマンに成り下がってしまっていいのか。
シェフと親しく付き合いたいなら、
プロの評論やライターをやめて、一常連客に戻ってからにしろ。
特定の店にアドヴァイスしたら、
公平に全ての店を評価できないではないか。
読者あっての店評価ではないかと2年わたって言い続けてきても、
今更スタンスを変える事が出来ないのでしょう。
店側も集客に有利だということで、
この癒着は一向に解消されていません。
しかも、本来毅然たる態度で店側と接しなければならない、
料理評論家、フード・レストランジャーナリストたちが、
店のプロデュース、コンサル契約と副業に勤しんでいるのですから
呆れてしまいます。
必要以上に親しくなってしまっては、
上記のような逸脱した関係に発展してしまう可能性は
ゼロではないと考えます。

実際、私のところには、
「あの人」が「あの店」に対して、
「よく書いて欲しければそれなりの金額をよこせ」だとか、
当然のように食事代を支払わない、
もしくは食事代を請求したらこの私に請求する気か、
といった顔をされたといった
実名入りの告発メールをかなりいただいています。
今だから話せるということなのでしょうか、
店側の人はもう存在しない閉店した店が多く、
他は常連客が親しい料理人から聞いた話、
ということで私の元には残念ながら確証はありません。

そこで、現役の料理店経営者、料理人の方々に聞いてみたいのです。
タブーなのかどうか知りませんが、
彼らから「タダ飯」や「袖の下」の要求はなかったのか。
また、「タダ飯」や「袖の下」をほのめかしたら
乗ってくる人がいたのか。
大半の「純粋ではない読者」や「グルメの方」たちは、
このような事が日常的に行われているはずだとお考えのようですが、
「しゃーない人たちだから」
と深く追求していないのが現状ではないでしょうか。
彼らが料理店評価活動を店宣伝として「商売」だと考えるなら、
「袖の下要求」は立派な営業活動と言えるでしょう。
また店側も、彼らを宣伝マンと考えるならば、
「袖の下」は立派な経費であると言えます。
しかし、これで本当にいいのでしょうか。
このしわ寄せは雑誌や本を購入した読者にきます。

これらの要求に毅然たる態度で断ったお店もあるでしょう。
取り込んでいる店、取り込まれている店からは期待していません。
毅然たる態度を貫いている料理人、経営者に
私は聞いてみたいのです。


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2005年6月27日(月)

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