| 第682回盛況なのが不思議でならない、六覺燈 2
 
 座るとレモン、黒酢、出汁醤油、赤ワインソース、そして塩の入った細長い皿が目に付きます。
 この店で食べる際、暗黙の了解事項が2つあります。
 客に出された串の先が指す薬味をつけて食べること、
 そして主人には決してワインの値段や品揃えを聞かない事、
 の2つです。
 特にこの店は「クロ ド ミャン」と同じく、
 大阪風ワイン商売でしてリストを用意していません。
 好みを伝えるだけで
 主人やソムリエにワインと価格を任せるシステムです。
 そしてどんな種類のワインがあるのかはっきり言いません。
 連れが食い下がって聞き出そうとしたものなら、
 主人の顔が引きつってきました。
 しかし、何のワインがあるかまったくわからず
 好みだけを言えといっても、
 喫煙者のような素人は疑問をもたないでしょうが、
 ワイン好き、ワインラヴァーにはとても辛い。
 不親切でいい加減な店なのです。
 肝心の串揚げに要するスペースがなくなってきました。串揚げは敢えて論評するほどのものではないのですが、
 15串くらいでしょうか、
 海老、牛、銀杏、蓮根詰物、白身魚にトンブリ塗り、
 茄子詰物など今時まったく珍しいものではありません。
 どれも一口タイプで
 コース一回りしても充分お腹一杯になるかは別、
 その分ワインで補充することになります。
 オーストリア主体の、主人が黙って出してくるワインを
 一人当たり1本飲んで御代は一人2万円数千円。
 隣りの席では、
 オーブリオンという1級ボルドーを開けていましたが
 いくら請求されることか。
 カレッタやヒルズにも誘われたけど断って銀座にでてきた、バーニーズの客が店に流れるのではなく、
 店の客がバーニーズに流れているんだと、主人は強気の発言。
 今は大阪の店に通っていた
 東京からの出張客で賑わっているようですが、
 新たな客層を開拓できるのか、
 この串揚げではCPが悪いだけに疑問です。
 <結論>ワインに拘る串揚げ屋との評判ですが、
 売り方とタバコの煙に問題があり、
 ワインに拘る人にはお勧めできません。
 どちらかというと、
 業界人など
 「本人は『通』のつもりでも実はワイン素人」に向いている店。
 癖がある主人で、
 緊張感もあり串揚げ版「次郎」のようなものでしょうか。
 価格も明瞭とは言えませんが、
 安いワインは5〜6千円からあるようです。
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