自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第675回
あの店は今・・・ オストラル 2

カトラリーはお決まりのクリストフル。
安い白ワイン(といっても8千円くらい)を頼んだからか、
ちゃちな小さなグラスで対応されましたが、
リーデルもあるようです。

三井不動産からの指導なのか、このビルの他の飲食店と同じく、
オストラルも今までなかったコース制を導入しています。
13800円と18900円(現在は15750円と18900円)と
かなり高い値付けに驚きです。
4階のトンカツ屋などにも見られる傾向ですが、
なぜ今まで導入していないコースを設定して、
無理に1万円以上の値付けにするのでしょうか。
観光客を狙うという、三井不動産の浅い知恵なのかわかりませんが、
コースに頼る客は初心者に多いもの。
メニューを見るのが面倒でわからない、
しかし予算は潤沢な客にはいいかもしれませんが、
シビアな客や食通に受入れられるとは思えません。

アラカルトも用意されているのですが、
非常に頼みにくいリストにわざと改悪して、
コースに誘導するような意図を感じます。
前菜やメインで分けるのではなく、
野菜、山鶉、子羊、魚、牛、フォアグラ、オマールなど
食材毎(10種ほど)に括ってしまって、
前菜とメインをごちゃ混ぜに表記し、料理は全部で15種ほど。
同じ食材のところに前菜やメインが並んでいますから、
どれが前菜でどれがメインだか良くわからず、
料理の選択肢も少ない。
根気良くリストを見て、
スタッフに問い合わせしなければ理解できず、
よって同伴や接待、経費落しの客、
そしてメインのターゲットとしているのか観光客は
コースに追い込まれることになります。
アラカルトは移転前とおなじく
ハーフポーションも用意されていますが、
フルポーションで3〜8千円と単品価格はかなり高くなっており、
全ての料理にハーフポーションがあるわけではなく、
設定される料理もかなり少なくなっています。
肉が牛、鶏類、子羊と種類が少ないのも気になります。
コースしか頼むなという意味で、
食材に拘る食通をターゲットにしていないのでしょう。
メニューが読みにくく、ハーフポーションも少なく、
肉類も少ないのはコースに追い込む戦略と読みました。

料理は、価格が高い事もありますが悪くはありません。
「オー グー ドゥ ジュール」へ移った
中村シェフの後を継いだ元スーシェフは、
当初は模倣に頼っていたようですが、
移転後の店では新しい料理を考えてきました。
昔からの定番は、野菜のモザイクテリーヌと、
オマールのグリル、カリカリのジャガイモくらいでしょうか。
新しく考えたから種類は少ないのでしょうが、
山鶉のガランティーヌはかなり出来がよかった。
しかし、定番のモザイクは
「オー グー ドゥ ジュール」系の2店に軍配を上げます。
フォアグラ、仔羊とアラカルト料理も
量は少なかったが味わいはよく、シェフの進歩が伺われますが、
いかんせん値段が高いのが残念。
デザートはワゴンで2千円、サービス料は10%で、
アラカルトでセーヴして、かなり安めのワインを頼んでも
一人当たり3万円前後
(3500円の高価なグラスシャンパーニュを飲んだからか)
とかなりのものになりました。

<結論>
どうしてもマダムの笑顔の裏に、
ドレスの下にソロバンが透けて見えてしまいます。
オープン記念というならば、サービス精神をだすべきところ、
グランメゾンでも1千500円前後で出すグラスシャンパーニュを、
高価なものだけに限定して、
しかも掛け率を高くして提供する傲慢さ。
グランメゾンの同業者もびっくりしていたこのボッタクリに、
友里は多いに憤慨です。
いくら地代が高いといえ、元の店を考えたら、
身の丈にあった店造りを考えるべきもの。
4階の「趙楊」と同じくあまりのマダムの勘違い経営に、
どこまでこの強気が続けられるか。
そういえば18時過ぎに「小十」へ入るマダムを偶然目撃しました。
店はオープンしているはずですが、
さすが店を空けて「小十」など流行の店に通える余裕は、
順調な集客と
料理やワインの値付けの高さからきているのでしょうか。
シェフの料理がよくなってきただけに、
マダムの経営方針が残念でなりません。


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2005年6月15日(水)

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