| 第669回話し出したら止まらない、エム ディー ピュー 2
 
 夜は6825円と8900円のコースを主体に、アラカルトが2〜3千円です。
 価格は都内のイタリアンでは、中の上くらいの設定、
 誰でも楽しめるコンセプトにしてしまったからか、
 シェフの特徴をまったくこの
 「お決まり」のメニューからは感じません。
 実際誰にでも受け入れられる、日本風イタリアンでありまして、
 地方色がでていないのです。
 しかし知る人ぞ知る室井氏は、
 イタリアは北、特にピエモンテ州の料理の第一人者のはず。
 コンセプトを間違えたのか肝心のウリが全面に出ていません。
 よってどこにでもあるような、平均的な料理になっております。
 しかし、私は知人の企画でシェフのピエモンテ料理を主体にしたお任せ料理を食べる機会がありました。
 バーニャカウダも手の込んだスープのようなもの、
 巷の野菜スティック用の
 アンチョビとガーリックのオイルではありません。
 パスタやリゾットも
 昼や夜のコースでみられるものと物が違っていましたし、
 メインの牛テール煮込みも
 ポルチーニや白トリュフソースをつかって
 地方色が良く出ていておいしいものでした。
 これらは、料理評論家への特別料理ではなく、
 既成のコース料金にプラス数千円、つまり1万数千円で、
 ある人数をそろえてあらかじめ予約しておけば、
 東京で地元に近いピエモンテ料理が誰でも食べられます。
 ただし、説明好きの室井氏は、
 調子に乗ったら何十分でもテーブル脇でしゃべり続けます。
 嫌味はなく感じも悪くはないのですが、
 お付き合いできる気長さが客にも要求されるでしょう。
 ワインは、種類は多くないが
 値付けは小売の1.5から2倍以内で普通です。
 <結論>誰でも頼めるメニュー外の特別料理を頼まなければ
 このシェフの持ち味はわかりません。
 聞き上手な方で、巷のイタリアンに飽きた方はぜひ挑戦を。
 しかし、
 二度目も同じ煮込みが出たという知人からのレポートもあります。
 ピエモンテ料理はメインの種類が少ないのでしょうか。
 事前に入念なメニューの打ち合わせが必要です。
 来年も三越のフェアにでるならば、
 気合をいれて出店してもらいたいものです。
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