自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第655回
友里の原点は田中康夫か

「レトワールに対する罪悪感」、
「看板を出さない店にもリスクはある」
とご自分の日記で友里を取り上げていただいた例のブログ。
連休中には毎日といっていいほど
この友里を再び取り上げていただきました。
この方のすべての日記を読んだわけではありませんが、
飲食店や格闘技などスポーツ、
映画や音楽がテーマになっているようです。
著者は鮨屋をはじめ、
昔からのグランメゾンなどかなりの経験の様子。
しかもそこらの食べ歩き日記とちがって、
一貫したポリシーの元でのコメントに感心したしだいです。
しかも、友里をよく調べたのか、内面、思考回路を分析し指摘、
その鋭い着眼に怖ささえ感じました。

そんな中で、
友里征耶の原点は田中康夫氏ではないかとのタイトルが
3日連続でありました。
ムム、かなり私の好み、
性格を読まれてしまっていると即座に思ったのです。
確かに、田中氏の「いまどき真っ当な料理店」は読みました。
そして前半部分の「真っ当な店」ではなく、
嬉々として読み込んだのは
巻末の具体店名を挙げての批評部分でした。
具体名を挙げてここまで書いた本は読んだ事がなく、
強烈なインパクトを受けたのは事実です。
どうしてこんなに具体的な事象や
料理人たちの行動を把握しているのか不思議にも感じましたが。
前半部分で影響を受け、「まっとう度」の高い店へ、
実際の彼のお勧めの店にもかなり行きましたが、
残念ながら今でもリピートしているのは皆無に近いでしょう。
料理店は普通、旬というか寿命はそんなに長くはないからです。
反面、ボロクソに書かれてあった店で、
その瞬間から行かなくなった店が
四谷のフレンチとかいくつか増えたのは事実です。
老舗というか古くから有名なフレンチのオーナーの
日頃の行状にまで踏み込んだのを読んでしまうと、
行く気がしなくなりました。
とにかく、「・・・日記」をはじめ、
人のやらなかったことに着眼、
その発想は独特のものをもった人と思います。
歯に衣着せぬ論調が友里征耶のウリだと言われていますが、
実は、着眼点の違いがありますが、
田中さんの方がずっと先だということですね。
ただ、彼も「田中康夫」ブランドとして顔を知られ、
恐らく実名で店を訪れているはずですから、
本人には気づかない一般客とは違った「特別扱い」が
存在していた可能性は考えられます。

そしてもう一つ、私が影響を受けたというか、
楽しくそして大変参考になり、最新版の復活を望んでいるのが、
ホイチョイプロダクションの「東京いい店・・・店」です。
タイトルの後半部分は、
あまり品がよろしくないのでぼかさせていただきました。
あくまで男性が女性を口説くツールとして飲食店に注目、
3回目で勝負、カウンターの60センチ(具体的数字忘れ)の法則、
など大いに笑わしてくれまた、活用させていただきました。
要は、飲食店ガイドや評価本も、ただ
「出汁と食材が渾然一体だ」、
「香りが鼻腔にぬける」、
「まったりだ」
と料理の味や印象を無理に細かく
しかしワンパターンの表現で読者にしらせるのではなく、
違った切り口が新鮮味があり面白いのではないかと。

そこで、拙著をはじめて出すとき考えた切り口は、
「口説きのための女性心理」ではなく、
「料理に影響を与える料理人の性格」だったのです。
ホイチョイ本は、料理店評価には色々な切り口がある、
ということを教えてくれた本でもあったわけです。
そんな友里征耶がわかっているのでしょうか、
先日ホイチョイの馬場さんから、
ラジオに一緒に出演しないかの依頼があったのですが、
顔出し、声出しの問題がありお断りさせていただきました。
アマゾンのレビューでも最新版を望んでいます。
マスヒロさん、田崎さんなどの、
中身がわかりきっている本よりはるかに売れると思うんですけどね。

この本以降も、数あるライターやジャーナリスト、
料理評論家が飲食店紹介本、ガイド本を出してきましたが、
自分の食経験自慢などはあるにしても、
他は店・料理人のヨイショ記事ばっかり。
TVと共に、勘違い「スターシェフ」を捏造する
諸悪の根源となってしまったようです。
そして、勘違い料理人の後には、
勘違い料理評論家、勘違いレストラン・ジャーナリストなどの完成。
かくいう友里も巷では「勘違い素人」と言われているようです。


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2005年5月26日(木)

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