第638回
京都へ食べに行くならまずこの本を
私は毎週、毎月、飲食店や料理人そして料理に関係する本、
雑誌を買いあさっております。
コラムで取り上げるネタ探しも目的の一つですが、
やはり欲しいのは飲食店の新しい情報です。
次から次へと発売されるこの手の本、雑誌のおかげで、
東京などで新しくオープンする店、
今注目されている
(編集側が煽っているのでしょうけど)料理店、料理人の情報は、
新しい物好きでミーハーな友里でも充分満足できるのですが、
たまに訪れる地方、特に京都の店の情報はなかなか入りません。
観光季節に出される特集雑誌などに若干取り上げられていますが、
どちらかという観光客向け、初心者向けの店が主体です。
私は以前のコラムで述べたように、
京都に限った飲食店紹介サイトを主に利用していたのですが、
今回京都に限定した飲食店ガイドが出版されましたので、
紹介させていただきます。
私は単なる宣伝というのは、
飲食店でも本でもするつもりはないのですが、
一般客の立場で書いたと述べている著者たちの志に、
私と同じ心意気を感じました。
随所に自腹でない料理評論家、
フード・レストランジャーナリストたちへの反発、
問題提起も見られる文調にも納得。
私と同じような考えの方々が出てきていただいたこと
誠に嬉しく感じた次第です。
タイトル:「そうだ! 京都を食べに行こう」
サブ:「和食、フレンチ、イタリアンから焼肉、スウィーツまで
すべてほんまもん」
著者:麻生 玲央 / 黒川 三有 共著
勿論出版社はあの「グラフ社」です。
友里征耶という毒を飲んでしまったからか、
「グラフ社」は、柳生九兵衛氏を除いて、
マスヒロさん、犬養さん、朝妻さんなど
飲食店サイドに立ったヨイショ記事を書く有名ライターからは
敬遠されているのでしょうか。
この二人の著者も勿論、取材費や店からのコンサル料を貰わず、
すべて自腹で食べまくって書いた、一般客代表の人たちです。
京都のフレンチ、イタリアン、和食から居酒屋、
そして焼肉、バー、スウィーツまで163店を取りあげており、
観光客から地元の人にも読者対象としている点が注目です。
ただのヨイショ宣伝にしたくない友里。
ちょっと難癖をつけるなら、
相変わらずグラフ社のつけるタイトルは
垢抜けないものだと再認識しました。
しかし、同社の最大のヒット本、
浅見女史の「あなたは絶対運がいい」にも通ずる、素人っぽさは、
ヒットの予感もします。
観光客向けを意識したのか、
フレンチ、イタリアン、和食など異ジャンルの店が
一緒くたに地域別にまとめられていますので、
行きたいジャンルの店を探す場合は検索しにくいといった、
私にはちょっと残念に感じるところもあります。
店や料理評論家、
フード・レストランジャーナリストたちへの舌鋒も
物足りなく感じるところもあるのですが、
それが著者たちの品性というものでしょうか。
拙著と違い、読後感の賛否は分かれることなく、
万人に受け入れられる文調と考えます。
料亭などあまりに高額な店は除外しています。
最高でも2万円以内おさまる店に絞った構成は、
広い読者層に参考になるでしょう。
最近は、京都出身というだけの人の書いた
中身のない飲食店ヨイショ紹介本や記事が目立ちますが、
一般読者の方にとっては、
こちらの本の方がはるかに役にたつと考えます。
出版社の力関係で、
限られた本屋にしか置かれていないかもしれませんが、
もし目に付くようなことがありましたら、
ぜひ立ち止って一読していただいてから、
購入するかをお決めください。
「料理の鉄人」、
「マスコミに無理に造り上げられたカリスマシェフやパティシエ」、
「バラエティにでまくって自分の利益だけを追求する
自称料理評論家、フード・レストランジャーナリストたち」
に軽く騙されてしまう「純粋な方」向けではなく、
「おいしい料理」、「まともな飲食店」、
「真摯に取り組んでいる料理人」を望んでいる
「真の料理店探訪好き」の一般客のために、
一般客の立場で「飲食店評価本」を書く人たちが
これからどんどん出てくるのではないでしょうか。
料理店サイドに立ちヨイショ紹介記事で一般読者を裏切り続ける、
コンサル料を貰い続けてつまらない店をオープンし続ける、
バラエティ番組でお笑いタレントと共演して
たいしたことない店を紹介し料理人をスター化する、
自称料理評論家、フード・レストランジャーナリストたちが
駆逐される日がくることを望みます。
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