| 第626回限られた客層にしか使えない、一宝 交詢ビル 2
 
 同伴ホステスは揚げ物が好きなのか、それとも短時間で食べ終わることができるからか、
 串揚げの「六覺燈」とこの「一宝」によく出没しているようですが、
 20時をまわると客層は一転、同伴カップルが店をでて、
 禁煙カウンターに新たな客が座り始めました。
 よってこの店では、喫煙されない方は、
 20時以降の入店をお勧めします。
 今回は最高値コースにチャレンジ。前菜の胡麻豆腐、銀杏、栗(時期は秋)も
 わざわざ天麩羅屋で食べるレベルのものではありません。
 鱧とマツタケのお椀も予想通り凡庸な出汁。
 造りも質を抑えてわずかな量ですから、
 自腹の場合は必要ないと考えます。
 なぜか葉物のサラダにラッキョウが乗せてあるのには驚きました。
 肝心の天麩羅ですが、塩、レモン、天汁(おろし付)と3種が用意されています。
 旨みのない海老はわずか3尾。
 そのうち1尾はシソ巻で、
 これはシソ味でカバーされていて未だましか。
 火が入りすぎたキス、そして銀杏、舞茸、生麩、玉葱など
 数稼ぎが続いた後、穴子はカリッとしておらず質、力量とも不足。
 最後の饅頭の天麩羅は甘すぎでミスマッチ、
 パスするべきでしょう。
 天汁も甘すぎて帰宅しても口の中に甘さが残りました。紅花油で揚げた軽い天麩羅が特徴ということですが、
 東京の中価格以上の店ならばどこでも出会えるもの。
 前後で5組の客に対して、
 油の交換をついに見ることがなく一人2万円。
 これだけ払えばもっと満足できる天麩羅屋が東京にはあります。
 <結論>同伴カップルが、
 出勤前に最安値のコースを頼むのが合っている店。
 どこにでもある天麩羅で、わざわざ行くことはないでしょう。
 すべての同伴カップルをこの店1店で引き受けてくれるならば、
 一般客にはあり難いです。
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