自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第583回
立地と主人の第一印象で損をしている、真(鮨) 1

オープンして2年近く経ったでしょうか、
西麻布交差点近く、
あの街の巨匠としてテレビ出演した「麻布食堂」の向かいにある
マンション風のビルの3階にある鮨屋です。

最近オープンした鮨屋のお約束というのでしょうか、
主人は30そこそこの若い人。
ある雑誌の30代鮨屋主人の特集で
「さわ田」や「しみづ」、
「なかむら」、「すし泉」などと一緒に取り上げられていましたが、
私は読者の方から
「あの『しみづ』の主人が行ってやってくれと宣伝していた」
との情報を得ていましたので、
オープン当初から気になっておりました。
外観はかなり貫禄がでていますが清水氏自身もまだ30代のはず。
独立して5年ほどしか経っていないはずですが、
自店が絶好調のようで
他店を育てようとして早くも名伯楽然とした行動に出てきたのは、
彼の余裕なのか驕りなのか、
私が「真」に注目したのはこんな経緯があったからです。

今をときめくヒラマツグループの前身、
「ひらまつ亭」がこのビルの地下にあったのは
もうあまり知られていません。
その後最近移転した「トレフ ミヤモト」の宮本氏の
「クリニャンクール」が入り、
今は居酒屋になっていますが、
その古いビルの3階、決して綺麗とは言いがたく、
清潔感ある鮨屋のイメージとしてはマイナスでしょうか。
よって飛込み客はまったく期待できません。
しかし、思い切って古いエレベーターに乗り、店に入ってしまえば
そこには小奇麗で余裕のある席配置の店が待っており、
落ち着きを取り戻します。
有名店での修業経験がないという主人は、一見強面です。
そして愛敬も振りまかないので、
初めての客はびびるのではないでしょうか。
カウンター席は7席ほど、
あとはテーブル席が奥にあるようですが、
席間も充分ありゆったり鮨が食べられます。

<明日に続く>


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2005年3月15日(火)

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