自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第569回
北島亭の味と量を期待してはいけない、サカキ 2

北島亭というと、
ガツンとくるほどインパクトのある味付けと
食べきれないほどのボリュームがまず頭に浮かびますが、
サカキの料理はその面影をまったく感じません。
どうやら味付けや量に関しては、
本店からは学んでこなかったようです。

リエットは軽すぎましたし、
マスヒロ氏絶賛のポトフのテリーヌも
今時珍しくもなく一般的レベル。
最近はかなりこの手のテリーヌを目にします。
味もそこそこ同じようなものでした。

もう一人の大御所、犬養裕美子さんが破格と賞賛していた
ココット入りの仔羊ローストは、
量が2人前近くあるとのことでしたが、
骨付きが2片で1人前としても多くはありません。
塩も本家とは比べるまでもなく薄めで、
何が破格なのか、4730円の値付けだけが破格としか考えられません。
半生の焼き蛤など本家の定番もありましたが、
すべて中庸に感じたのは、
「洋食屋」がフレンチを出していると言う先入観を捨て、
純粋なフレンチとして友里が評価したからでしょうか。

代々続いた酒屋の息子が
ワインショップに転向して失敗した例もよく聞きます。
ランチにもある「もち豚のカツレツ」など
1千円程度の「洋食料理」はそれなりに納得する食後感。
たとえは極端かもしれませんが、
同じ店内で回転鮨と高額お任せをカウンターで出すようなもので、
その折り合いは難しいと考えます。
2足の草鞋をはき続けるよりも、
どちらかに絞る、
私的には本業の洋食に専念したほうが良いと考えます。

<結論>
ワインは安いが料理は高い食後感。
料理店評論の大御所2人のバックアップと、
名店「北島亭」の弟子というキャッチ、
そして「洋食屋」の先入観で下駄をはかせてもらって
過大評価されている、普通レベルのフレンチも出す
ただの「洋食屋」。
純粋にフレンチを楽しむならば、
同じ価格帯で近くにある「メルヴェイユ」で充分かと思います。


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2005年3月1日(火)

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