| 第566回取材拒否をウリにする時代になった
 
 料理評論家、フード・レストランジャーナリストたちに擦り寄る料理人がかなり居る反面、
 取材拒否の店も増えてきたようです。
 TVで犬養さんに最敬礼しながら名刺を出した料理人、
 マスヒロさんにわざわざ訪問をお願いする店など
 マスコミというか、一般客、一般読者に影響力のある重鎮に
 見え見えの尻尾振りをする店が、
 果たして「行ってよい店」なのかどうか疑問でありますが、
 反対に取材拒否の店はどうなのでしょうか。
 いわゆる会員制もこの広義には取材拒否の店と言えるでしょうが、多くはないですが私の経験から言わせていただくと、
 ほとんど良い食後感をもって店を後にした覚えがありません。
 何しろ、取材拒否を全面に出して、
 逆に宣伝にしている店もあるくらいだからです。
 雑誌やビルのパンフに載せているのに電話番号だけ載せない「趙楊」。
 これも変則的ですがこの仲間でしょうか。
 「Hanako」の取材を受けているにもかかわらず、
 住所を載せて電話は店の都合で載せないとの注釈。
 これって立派な宣伝行為です。
 雑誌で主人が上海の上流階級出身だと嫌味に掲載していた
 新宿御苑近くの「シェフス」。
 その雑誌ではまったく店名も住所、電話も掲載されていません。
 でも店の外観や内装の写真は載せているんですね。
 ちょっと調べればどこの店かわかるようにしている
 高等テクニックです。
 「趙楊」は料理人の勘違いで今や風前の灯火というか、
 CP悪くなって客が寄り付きません。
 「シェフス」もある人が絶賛する「上海蟹ミソチャーハン」も
 段々質が落ちてきたように感じます。
 もともとすべて高いですからCPを考えてはいけない店です。
 会員制で有名なのは銀座の「壬生」でしょうか。300名くらいと言われる会員で、
 毎日3回転、毎月1回は会員が日時を指定されて通っているようで、
 いわば新興宗教の会員のようでして、
 その呪縛というか洗脳がとければ会員はどう判断されるか。
 最近の「大人の週末」では「取材拒否」を企画化していました。それぞれの店に突撃してレポートを載せていますが、
 これって立派に店の宣伝に一役買っています。
 簡単に連絡先が調べられるからです。
 私も釣られて何店か行ってしまいました。
 白金の「モレスク」。
 業界人などで一杯の隠れ家のようですが、
 分店の恵比寿「ボ・ブイユ」は
 犬養さん一押しの店で雑誌出まくりです。
 どうなっているのでしょうか。
 本店は、首を捻る料理が連続してでてきて
 予想通りの結果となりました。
 「榮庵」というカウンター洋食は、今はなき「トゥ ソル」のような素材をウリにした店。
 客単価2万円近くで面白いですが、
 調理方法ではいくつか疑問のものもありました。
 ここの挙げたのは一部の店ですが、「取材拒否」というスタンスが一人歩きしてしまって
 逆に取材対象になり、
 宣伝効果をあげる結果となってしまったようです。
 人間は行きにくいとなれば余計に行きたいもの。
 この宣伝手法はまだまだ使いようによっては
 大きな武器になるようです。
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