第537回
料理評論家、フード・レストランジャーナリストへの質問状
その6
利益にはしりすぎていないか
年末と年始に1回ずつ、
銀座の「Ryo−ri genten」へ行ってきました。
秋田は角館の「一行樹」という創作和食、
マスヒロ氏の絶賛持ち上げでブレイクしたのですが、
ゲンテンというバッグメーカーをスポンサーにして
銀座へ移転してきました。
角館の店は閉店、しかしなんの断りもなかったいうことで、
役場はかなり憤慨していたと知人から聞きました。
和食としては奇を衒ったローマ字の店名。
スポンサーである会社名を冠することで、ブレイクすれば
本業であるバッグの宣伝にもなると考えたのでしょうが、
あまりに安易で和食屋としての格を感じません。
そして、どうやら角館には店名のほか、
料理人魂も置いてきてしまったとも感じましたが、
詳細は後日に譲ることにします。
銀座移転を聞いて私は直ぐ、山本益博氏の仕掛けと思いました。
あれほど彼の紙面で「宣伝」していたのですから。
スポンサーのゲンテンへ紹介したのも彼なのでしょう。
確信はなかったのですが、
結構正直というか、店のスタッフは
「料理評論家の山本益博さんがプロデュースされました」
と聞きもしないのに自慢しておりました。
でもこれってありでしょうか。
確か週刊現代1/8・15号の彼のコラムで
「イチ押しの皿」としてこの銀座店の料理を取り上げていました。
紹介料とかプロデュース料をゲンテンから貰ってから、
その顧客の店を週刊誌に取り上げるのは
立派な「宣伝行為」ではないでしょうか。
自分がプロデュースした店を一押しするのは
自画自賛で格好が良いものではありません。
評論家の矜持を捨て、
なんでここまでなりふりかまわず
利益を上げたいものなのでしょうか。
有名な海外料理人の口利きもしているといった噂も絶えません。
犬養さんのレダックにしてもマスヒロジャパンにしても、
本業以外のプロモーションが目立ちます。
飲食店業界が捻じ曲がってしまうのは、
勘違いした料理人や経営者だけではなく、
この手の人たちを重鎮として
存在を許している我々読者側にも問題があるのではないでしょうか。
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