第425回
麻婆豆腐めぐり　その８
巴蜀と東坡

今回は夕刊紙やネットのガイドで気になった店の麻婆豆腐です。

- 巴蜀（はしょく） -

日刊ゲンダイで紹介されていた岩本町近くの四川料理屋。
オープンしてそれほど経っていない、お洒落な店とありましたが、
４種の850円定食が人気なのか、昼時は建設作業着姿の客も目立ち、
ただの街場の定食屋の雰囲気でした。

麻婆豆腐はランチの一つで、
ゲンダイでは昼でも相当辛いとありました。
トマト入り玉子スープ、付き出し、白米かチャーハンがお替り自由、
そして一口デザートと量は充分。
肝心の麻婆豆腐ですが、
四川物ではない鷹の爪が幾片か入っていて、
辣油の赤さも目立つのですが、
辛味、山椒の香りを感じるものの、味もコクも薄いと言うか
物足りないものでした。
豆板醤やトーチの塩味といったものを感じませんでしたが、
誰でも立ち寄れるお得感あるランチなので仕方ないか。

- 東坡（トンポー）-

原宿のセコムビルの反対側にあるカウンター主体の店。
夜だけの営業で、狭い店ですから予約が不可欠です。
四川の創作系と思われる料理の詳細は後に譲るとして、
ここの麻婆豆腐はネットのレヴューの通り、
私の経験内では「東京一辛い」。
というより、意味もない、必然性のない辛さで、
花椒以外に何も感じません。
豆腐も食感だけで麻だけが口に残って、何の味も感じないのです。
痺れと辛さでいえば、「趙楊」以上のもの。
別に花椒の質に拘っているようにはみえない、
粉花椒の入った缶をひたすら無意味に振りかけ続ける料理人。
他の料理は面白い物もあり、
怖いもの見たさ、話のタネが好きな方、マゾ的な方、には
一見の価値があると思います。