第410回
友里征耶のタブーに挑戦 その14
イベリコ豚は希少食材ではない?
フレンチ、イタリアンに限らず
ブランドポークが料理店に大人気であるのは
以前にもコラムで述べました。
白金豚、アグー豚、寿豚、東京エックス、
桃園豚、三元豚、梅山豚、チンタネーゼにこのイベリコ豚と
ちょっと思い出してもかなりの種類になります。
料理店ではこれらブランドポークの銘柄を
メニューなどに全面に押し出して、その食材そのものの旨さのほか、
希少食材であるがのごとくあらわして、
客心理をうまく突く営業を展開しています。
確かに、日本の豚といえども、
我々一般人には「白金豚」や「桃園豚」など
これらの豚を簡単に入手する事はできません。
気軽に自宅で「桃園豚」を買って来て
豚カツを食べる事は難しいはずです。
簡単に手に入るならば、銘柄豚をウリにしている豚カツ店、
たとえばコレド日本橋の「平田牧場」などの店へ
押しかける客が減ってしまう事が予想されます。
この店は食材はいいのでしょうが、
客が多いからなのか火を通しすぎる揚げ方で、
結構がっかりします。
そしてこの「イベリコ豚」。
京都和久傳など和食の世界へも進出してきているようですが、
イタリアンやフレンチのシェフは、
その脂を含めて一番旨い、みたいな発言をしているのを
良く聞きます。
日本へ輸入されるイベリコ豚は、冷凍物だと聞いた事がありますが、
私は以前のコラムで
あまりに日本で氾濫するこの豚の数に疑問を呈し、
「そんなにスペインではドングリがあるのか」と述べました。
希少豚ならば
本国スペインでもそう見当たらないのではと思ったのですが、
今回、スペインはセビーリャ地方へ旅行してびっくりしました。
巷のバールでは「ハモン セラーノ」どころか、
「ハモン イベリコ」の生ハムが何本もぶら下がっております。
蹄が黒いのが目印だそうですが、
地場の料理店でも見かけられましたし、
なんとセビーリャの空港では土産用として、
ソーセージ、切り落とした生ハムといった加工品以外、
腿そのままの「ハモン イベリコ」も
数万円で売っていたのにはびっくりしました。
バルセロナの空港でも、イベリコ豚は取り扱っていましたし、
「イベリコ」という表記以外に、
生産地を明記した「JABUGO」も結構色々な店で見かけましたが、
実はイベリコ豚であるということを初めて知った次第です。
つまり、イベリコ豚は日本だけではなく、
本国スペインでも氾濫していたのです。
でもこれって、
一部のマスコミやシェフ、ジャーナリストが述べているように、
本当に希少な食材なのでしょうかね。
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