| 第384回鮨屋とは思わないほうが無難、鮨 なかむら 1
 
 最近30代の主人の鮨屋が流行っているようですが、この店もそのひとつ。
 明治屋近く六本木通りを一本入った路地の1階で、
 2つのキャッチで売り出しています。
 マスコミに頻繁に登場する30代の鮨屋主人の特徴は、
 修行歴の短さですが、
 なんとこの「なかむら」の主人は鮨屋での修行歴がゼロ。
 和食屋での修行はあるものの、
 独学で屋台から始めて店を持ったというのが一番のウリです。
 そして、もう一つは、
 午後7時から明け方まで営業している使い勝手のよさ。
 この営業時間の長さは特筆すべきものです。
 店内は10席のみの白木のカウンターだけですが、つけ場やカウンター背後のスペースには余裕があります。
 主人の他、坊主頭の男性スタッフはどこでも見かける光景ですが、
 驚いたことにこの店ではもう一人、
 女性スタッフが重要な役割を果たしておりました。
 なんとこの女性が堂々とつけ場に立ち、
 色々な仕事をしているのです。
 私は今まで高額鮨屋で
 女性がつけ場へ立ち入った所を見たことはありません。
 立つだけではなく、昆布しめの白身にラップをかける、山葵をする、
 コハダも漬け込みから取り出してペーパーへ包む、
 茹でた海老を剥く、ついにはシャリまでいじりだす、など
 重要な仕込みを一手に引き受けいる光景に、
 私は強烈な違和感を覚えました。
 午後7時のオープン後に客前で仕込をするのも問題ですが、
 重要な仕事を
 職人には見えない女性に任せている主人の考えは如何なものか。
 かなり若い方なので、女将なのかもしれませんが、
 これってありなのでしょうか。
 主人が鮨屋で修業歴がないかわりに、その女性が鮨屋で修業していたのか、と
 笑えないジョークを飛ばしたくなります。
 犬養裕美子氏、大谷浩巳氏など錚々たるジャーナリスト?が
 この店を宣伝していますが、
 この光景を見て何も感じないものなのか、
 ジャーナリストではなく店のスポークスマンですから
 期待するほうが無理なのか。
 他の雑誌では、キノシタの木下氏なども
 料理人仲間と訪れている写真が載っていましたが、
 フレンチのシェフは
 普通の鮨屋ではありえないこの光景を何と見たのか、
 コメントを聞きたい思いです。
 <明日に続く> |