第357回
ワインサービスは期待はずれ、アルバス 2
料理は1万2千円のコース(アミューズ、前菜、魚、肉など)の他、
3千円から7千円近くまでと
やや高めのアラカルトが用意されています。
オーナーソムリエの場合、引き抜くシェフが一番の問題ですが、
聞いたところあの「SIMPEI」(上大崎)の
スーシェフだと聞いて我々の期待はややしぼんでしまいました。
ウニの殻を使ったアミューズ、
時期的に遅いかとも思われるボルドー産のアスパラの前菜、
鮑のステーキにブレス産の小鳩のローストと使用食材は豪華です。
アスパラにオランディーヌ、鮑に肝ソース、
小鳩に赤ワインソースと良く言えばオーソドックス、
はっきり言えば安易なもので、
スタイルは修業先の創作系料理とはやや違っていましたが、
みな食材に比べてソースが負けておりました。
それでは店の看板であるワインサービスはどうかといえば、
どうってことないもの。
値付けはバラバラで、
絶対額の高いものにいくつかお得感がありますが、
全体には高めの設定。
ブルゴーニュよりボルドーの方が多かったのも意外でした。
品揃えも多くはなく、90年代のワインが主体の中、
ポツポツと1928年もののボルドーから
60年前後のブルゴーニュ古酒が安い設定でありましたが、
いずれも5万円を超えるもの、頼む客層は限られます。
モンラッシェ(ブルゴーニュ白の最高峰)が10種類もあるのは
逆に品のなさを感じ取ってしまい、
普通の料理に、有名ソムリエとはいえ
その付加価値を示せない普通のサービスの中、
適度なワインをとって一人3万円前後となりました。
ある程度ワインを知っている客層には、
ワインサービスで特別な付加価値をつける事はむりでしょう。
いくらうまく抜栓しようが、グラスに注ごうが、
料理とのマリアージュを説こうが、薀蓄を話そうが、
ワイン自体の味わいは本来物理的には変わりません。
プラスにはならず、いかにマイナスにならないかを気にする
難しい職種でもあるのです。
無難にサービスして当たり前、
10年近く前、世界一ソムリエ(仲田氏ではありません)を
日本が輩出してしまってから、
マスコミその他がかなりその世界一ソムリエを煽ってしまって、
彼自身も舞い上がってしまったのも原因の一つでしょう。
なにかソムリエの技量によって、
ワインや料理がより素晴らしくなると
刷り込まれてしまった感がありますが、
世界ではあくまで裏方の職種。
日本特有の持て囃しが、元世界一ソムリエだけでなく、
一般客まで勘違いさせてしまったと考えます。
<結論>
ワインリストが読める客には、
ソムリエが誰だろうと満足度が増さないことが確認できた。
ワインサービスに付加価値はつけられません。
ワインに詳しくない芸能人、業界人にのみ
お勧めの店といえるでしょう。
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