| 第353回花椒は特級品なのだが、趙楊 その2
 
 その日を境に、私友里の麻婆豆腐追及の旅は始まりました。東京近辺で本場四川に近いといわれる店へ徹底取材。
 本家と言われる
 「陳麻婆豆腐店」の日本での提携店である、お台場店と赤坂店、
 中華の鉄人・陳健一氏の四川飯店(赤坂、六本木)と
 渋谷の「スーツァイ レストラン 陳」の3店、
 中華街での四川専門店・景徳鎮、
 そして五反田の鎮麻家、その他、赤塚、町田から
 果ては大阪の玉造まで雑誌の評判を参考に食べ歩いたのです。
 すべての店での要求は「最高に辛く(花椒を利かして)して」。
 適うところは花椒をミル毎もらい、
 自分でバンバン振り掛けました。
 しかし今現在、この「趙楊」ほどの痺れ感を味わう店に出会えません。
 陳麻婆豆腐店では本場と同じ辛さで
 しかも追加で花椒をかなり振りかけたのですが。
 勿論、「趙楊」へも何回も再訪しました。慣れはでてきましたがこのむせ返る刺激は相変わらず。
 他の料理が凡庸なこと、
 いつのまにか最安値のコースが5500円(消費税除いて)と
 500円値上がるなど危険な方向へ進んでしまったのは、
 秋にオープンする交詢社ビルへの移転が決まり、
 CPを落とす予行練習なのでしょうか。
 私はついに、中華街の食材屋で「特選花椒」を粒のまま購入しました、
 新鮮なその粒をそのまま口で噛み砕いた時、
 「趙楊」で始めて経験した痺れと同じものを感じたのです。
 <結論>他の料理は凡庸ながら、
 陳麻婆豆腐に使う花椒だけは他店に負けない新鮮、高質なもの。
 花椒の使いすぎで、味をごまかしているとも勘ぐれます。
 その割に生ビールは鮮度がかなり落ちたものに何回も遭遇。
 話のタネとして、
 夜にアラカルトで頼める陳麻婆豆腐単品で充分と考えます。
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